第3四半期の完全失業率が前年同期比で改善も、非正規雇用が増加
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2023年01月10日
アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は12月21日、2022年第3四半期(7~9月)の国内31の都市圏を対象とした世帯アンケート(EPH)に基づく労働力調査の結果を発表した。完全失業率は7.1%で、前期比0.2ポイント増加したものの、前年同期比では1.1ポイント減だった(添付資料表参照)。
第3四半期の就業人口は全人口の44.2%で、前期比0.4ポイント減となったが、前年同期比では1.3ポイント増加し改善した。就業人口の内訳をみると、給与所得者は72.5%で前期比1.0ポイント減、前年同期比で0.5ポイント減となった。給与所得者のうち社会保障費を支払っていない就業者は37.4%を占め、前期比で0.4ポイント減少したものの、前年同期比では4.3ポイントと大幅に増加した。社会保障費を支払わない就業者はいわゆる非正規雇用で、前期と同様、非正規労働者が雇用を下支えしている。
完全失業率を男女別(14歳以上)にみると、男性が6.5%で前期比0.4ポイント増と再び悪化し、女性は前期比で増減なしの7.8%だった。男女ともに、前年同期比では1.2ポイント改善した。性別・年齢階層別にみると、14歳から29歳までの女性が16.6%で前期比2.7ポイント悪化、前年同期比では1.4ポイント改善。同世代の男性も14.3%で前期比1.7ポイント悪化も、前年同期比では2.3ポイント改善した。
2022年12月21日付の現地紙「アンビト」(電子版)によると、経済省管轄の生産研究センター(CEP)の報告書は、就業率は20カ月連続で上昇しており、好調だった2011年に等しい状況だとしている。他方、アルゼンチン労働者連盟(CTA)管轄の研究育成センター(CIFRA)は、就業率は拡大しているものの、就職の質を問題視しているという。多くの就業者は非正規であり、社会保障もなく、収入は正規就業者に比べてはるかに低いと指摘している。
(山木シルビア)
(アルゼンチン)
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