中央国有企業の2022年の売上高、前年比8.3%増の見通し

(中国)

北京発

2023年01月17日

国有資産監督管理委員会(国資委)は2023年1月5日、中央国有企業(以下、中央企業)の責任者会議を開催し、2022年の中央企業の業績評価および2023年の経営目標設定などを行った。

会議では、2022年の中央企業の営業収入(売上高に相当)が前年比8.3%増の39兆4,000億元(約788兆円、1元=約20円)、営業利益が5.5%増の2兆5,500億元、純利益が5.0%増の1兆9,000億元となるとの見通しを示した。

また、国有企業改革3年行動を円満に完了させ、「3つの顕著な成果を収める」(注)という目標を達成し、国有企業が科学技術イノベーションと産業の牽引役としての役割を十分に発揮したと評価した。

2023年の中央企業の経営活動目標については、GDP成長率を上回る利益総額の伸びを確保すること、資産負債比率を安定化させること、総資産利益率、R&D強度(GDPに対する研究開発費支出比率)、労働生産性、キャッシュフローの対売上高比率をさらに向上させることを挙げた。

具体的な取り組みとしては、質の高い発展を最優先課題とし、世界一流企業の育成を加速させること、国有企業改革をさらに深化し、イノベーション型の国有企業を育成すること、産業体系のグレードアップを加速し、国有資本の配置の適正化と構造調整を推進することなどを強調した。

中国企業連合会研究部の劉興国研究員は、2022年目標との相違点として、過去数年の改革により国有企業の資産負債比率が低下したため、同比率に関する目標は「抑制」から「安定化」へと調整されたと説明した(「界面新聞」2023年1月6日)。

さらに、劉研究員は新たに指標に追加されたキャッシュフローの対売上高比率について、中央企業の収益性をより良く反映する指標と指摘し、「新たな指標の導入は中央企業が発展の質の向上により注力するよう誘導するため」とコメントした(同)。

なお、中央企業の2022年1~11月の納税・各種費用の額は累計で前年同期比18.8%増の2兆6,000億元に、年率換算の1人当たり労働生産性は9.2%増の74万6,000元に、また、同年11月末時点の中央企業の平均負債率は2021年同期より0.2ポイント低下して64.9%になった(「新華社」2023年1月6日)。

(注)国有企業改革については、2020年6月に開催された中国共産党中央全面深化改革委員会の第14回会議で「国有企業改革3年行動プラン(2020~2022年)」が採択された。同プランでは、目標として、より成熟した中国の特色ある現代企業制度と国有資本の監督管理体制の構築、国有経済の配置の最適化と構造調整、国有企業の活力・効率の向上、という3つの面において、顕著な成果を収めることが打ち出された。

(張敏)

(中国)

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