2022年通年の輸出入額はいずれも過去最高、12月単月では前年同月比減少

(中国)

北京発

2023年01月20日

中国海関総署の113日の発表によると、2022年の貿易総額は前年比4.4%増の63,096億ドル、輸出額は7.0%増の35,936億ドル、輸入額は1.1%増の27,160億ドルで、輸出入ともに過去最高となった(注1、2)。貨物輸送量は前年比3.3%減、うち輸出は1.0%減、輸入は4.6%減となった。

貿易総額を主要な貿易相手国・地域別にみると、ASEAN15.5(前年比1ポイント上昇)のシェアを占め、2020年以降3年連続で中国にとって最大の貿易相手となり、2位のEU3位の米国も順位の変動はなかった。2021年は日本が4位、韓国が5位だったが、2022年は韓国が日本を上回って4位となった。輸出では香港向けが15%減となった一方、ASEAN向けは17.7%増と好調だった。輸入では、ASEAN以外いずれも前年比マイナスとなった(添付資料表1参照、注3)。

主要品目別にみると、輸出では、携帯電話、家電、PCなどが前年比マイナスだった一方、自動車は金額で7割、数量で5割を超える大幅増となった 。輸入では、世界的な商品価格高騰を受け、大豆や原油、天然ガス、石炭といった品目の金額が増加したものの、数量は減少した。集積回路や化粧品は金額・数量ともに減少した。

12月単月の数値をみると、貿易総額が前年同月比8.9%減、輸出額が9.9%減、輸入額が7.5%減と、前月に続いて不振だった(詳細は添付資料表2参照)。商務部国際貿易経済合作研究院国際市場研究部の白明副主任は、2022年第3四半期(79月)以降に外需が大幅に縮小したことが輸出を下押ししたと分析している(21世紀経済報道」114)

2023年の動向について、呂報道官は、中国の貿易は現在、外部環境の変動や不安定、世界経済の下押し圧力の増大など多数の困難に直面しているものの、中国経済が全体として回復する見通しであることは貿易の発展にとって有利と指摘した。

また、白副主任は、新型コロナウイルス防疫政策の合理化に伴い、中国の貿易や経済の回復は加速すると見込まれるが、短期的には感染の再拡大によって輸出の回復に時間を要することや、2022年の数値が前半の月は高く後半は低かったことから、2023年の輸出の伸びは前半が低く、後半が高くなる可能性が高いと予測している。このほか、白氏は、輸出の伸びが全体として下押し圧力を受ける中でも、世界的なカーボンニュートラルへの取り組みによって電気自動車(EV)や太陽光パネル、電池などの関連製品については輸出増加が見込まれると期待を示した(21世紀経済報道」114)

(注1)人民元建てでは、貿易総額が前年比7.7%増、輸出額が10.5%増、輸入額が4.3%増だった。

(注2)海関総署の呂大良報道官は、中国の輸出の世界市場におけるシェアは14.7%で、14年連続で世界1位となったと明らかにした。

(注3)対ASEAN貿易が好調だった要因として、呂報道官は、202211日に発効した地域的な包括的経済連携(RCEP)協定によって産業チェーンの結びつきが緊密化したことや、中国ラオス鉄道の開通によって鉄道輸送による対ASEAN貿易が約3倍になるなど活性化したこと、ベトナムの生鮮ドリアン、カンボジアのリュウガン、ラオスのパッションフルーツなど各国産の農産品の輸入検疫手続きを整備したことなどを挙げた。

(小宮昇平)

(中国)

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