政府調達における地域統括会社(RHQ)持たない企業の参加条件が決定

(サウジアラビア)

リヤド発

2023年01月13日

サウジアラビア政府は1月6日、官報(Umm Al-Qura)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「サウジアラビアに地域統括会社(RHQ)を持たない企業と契約するための規則」を発表した。政府が2024年以降に実施する政府調達案件への外国企業参加要件として、サウジアラビアにRHQ設置を求めることを発表して以来、制度詳細の公表が待たれていた(2022年11月16日記事2022年10月24日付地域・分析レポート参照)。今回、新たに明らかになった主なポイントを紹介する。

同規則が対象とする「サウジアラビアに地域統括会社(RHQ)を持たない企業」(以下、該当企業)について、サウジアラビア国内にRHQを持たず、中東・北アフリカ(MENA)地域の他国にRHQを持つ企業で、サウジアラビア投資省(MISA)が作成する企業リストに含まれる企業と規定された(注1)。また「関連当事者(Related Party)」として、該当企業の「エージェント、ディストリビューター、サプライヤー、製品・サービス提供者」が定められた(第1条)。MISAがMENA地域にRHQを有さないと判断する企業とその関連当事者は、この規則の対象にならない。

また、同規則が対象とする政府調達の実施主体について、政府機関(Government Agencies)とし、公的な法的人格を有する省庁、公的機関などが含まれた(第1条)。対象機関の名称やリストは明らかにされていない。

複数の適用除外規定を導入

政府調達を実施する際、実施主体は原則として同規則を順守する必要がある。ただし、円滑な事業、調達を実現するため、一定の条件の下で適用除外が認められた(注2)。

まず、一般的な適用除外対象(第4条)として、(1)100万リヤル(約3,400万円、1リヤル=約34円)を超えない案件、(2)サウジアラビア国外で実施される案件を規定した。

該当企業による入札参加が認められる条件として、(1)技術的に受容可能な提案が1件のみである場合、または(2)該当企業・関連当事者による提案が技術面で最も優れ、かつ次点の提案に比べて25%以上安価な場合と定めた(第6条)。

このほか、政府機関が該当企業を入札に招くことを認める場合の条件として、(1)事業や調達を行う資格を満たす競合先が該当企業以外に2社以上存在しない場合、または(2)該当企業の参加を促す以外に対処手段がない緊急事態が存在する場合と規定した(第7条)。

同様に、該当企業と直接契約を結ぶ場合の条件として、(1)事業や調達に該当企業のみが応じられる場合、(2)該当企業と直接契約すること以外に対処方法がない緊急事態が存在する場合と定めた(第8条)。

各政府機関は適用除外を求める場合、財務相を議長とする政府内委員会に事前承認を求めることができる(第14条)。同法は2024年1月1日に発効する(第21条)。

(注1)サウジアラビアでRHQを保有するには、MISAよりRHQライセンスの交付を受ける必要がある。

(注2)今回の制度見直しの結果、政府調達に関係する企業のみならず、政府機関の一部からは、応札時に競争行為が十分に働かないとの懸念の声もあり、適用除外の必要性が指摘されていた。

(秋山士郎)

(サウジアラビア)

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