米国のデフォルトを7割弱が問題視、6割強が歳出抑制求める、世論調査

(米国)

米州課

2023年01月23日

米国では、連邦政府債務が法定上限の31兆4,000億ドルに達し、債務不履行(デフォルト)を回避するための特別措置の適用を開始している(2023年1月20日記事参照)。デフォルトに関しては、7割弱が問題視していることが世論調査結果からわかった。

ハーバード大学アメリカ政治研究センターとハリス・インサイト・アンド・アナリティクスが1月20日、債務問題などに関わる世論調査結果(注1)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。それによると、一時的なデフォルトを大きな問題とみるかとの問いに、「大きな問題」とみる割合は69%と7割弱だった。共和党は与党・民主党に債務上限引き上げを制限なしに認めるべきかという問いに対しては、「支出制限を求める」が66%と、「制限なしに債務上限を引き上げる」(34%)を大きく上回った。議会での債務問題の対応については、将来の支出を抑制した上で債務上限を引き上げるべきとする回答が63%、民主党が共和党と歳出抑制の交渉をすべきとする割合は65%といずれも6割を超えた。

また、連邦債務の金額を問うた設問では、「25兆ドル以上」との回答は34%にとどまり、6割以上が25兆ドル未満とし、実際の債務額よりも低めに認識していることがわかった。

同世論調査の共同ディレクターで、マーケティング会社スタッグウェルの会長兼最高経営責任者(CEO)のマーク・ペン氏は「ほとんどの有権者は、民主党が債務上限交渉のテーブルに着くことを望んでいる。有権者による、暴走する政府支出への不満は沸騰している。ジョー・バイデン大統領と民主党は、2024年の選挙サイクルに向けて戦略的に行動する必要がある」と述べた。

経済誌「エコノミスト」と調査会社ユーガブが1月18日に発表した世論調査PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(注2)では、「税制と政府支出」を重視するという回答は90%(非常に重視61%、いくらか重視29%)に達した。一方で、同項目に対するバイデン大統領の支持率は39%と4割に達していない。

選挙情報サイトのリアル・クリア・ポリティクスのデータによると、バイデン大統領の支持率は、1月初旬に44%に達した後は下降傾向になっており、1月20日の平均支持率は42.9%となっている。

(注1)実施時期は1月18~19日、対象者は全米の登録有権者2,050人。

(注2)実施時期は1月14~17日、対象者は全米の成人1,500人。

(松岡智恵子)

(米国)

ビジネス短信 415efd94efea74a1