トヨタランカ、新たな物流拠点を設立し配送網強化へ

(スリランカ)

コロンボ発

2023年01月13日

トヨタランカは20221214日、自動車部品の配送の効率化を図るため、新たな物流拠点として「トヨタランカ フルフィルメントセンター(Toyota Lanka Fulfillment Center)」をコロンボ郊外のカダワタに設立した。

開所式には、ラニル・ウィクラマシンハ大統領や水越英明駐スリランカ日本大使らが出席した。トヨタランカの四倉佐知夫会長は「新たなモビリティー社会へと変革していく中で、品質や安全、高い費用対効果を保証しながら、顧客の期待に応えていきたい」と述べた。ウィクラマシンハ大統領は、トヨタランカによる先進的な知見の提供に対して謝意を示すともに、さらなる日本企業からの投資に期待を寄せた。

写真 開所を祝う、ウィクラマシンハ大統領(左から3人目)(ジェトロ撮影)

開所を祝う、ウィクラマシンハ大統領(左から3人目)(ジェトロ撮影)

トヨタランカは、豊田通商の100%出資により1995年に設立され、乗用車や商用車、自動車用品などを販売している。現在では、スリランカ全土に18支店を展開し、880人の従業員を抱える。同社の技術・サービスの質の高さは、トヨタ自動車グループ全体でも高い評価を得ている(同社の人材育成の取り組みについて、2017年8月30日記事参照)。外貨不足に直面するスリランカでは、20203月に自動車の輸入規制が導入され、202212月現在でもスリランカ国内への自動車の輸入は認められていない。同社は、スリランカ国内で新車の販売がほぼできなくなったため、現在は過去に販売した車両のアフターサービスや中古車の販売に注力している。

自動車の輸入が停止したことで、新車・中古車ともに買い替え需要が大きく落ち込んでいる。同時に、自動車部品を交換し、修理をしながら自動車を乗り続けようとする消費者が増えている。結果的に、自動車用品全般に対する需要が高まり、同社では自動車部品の供給体制を強化することが必要となった。また、スリランカにはさまざまな経路で中古車が輸入されているため、流通する車種も多様化している。車種ごとに異なる部品が使われていることも多く、各支店への適切な部品の供給が課題となっていた。なお、一時期、自動車部品も輸入停止の対象となったが、現在は輸入が認められている。

そうした背景のもとで、同社は部品の倉庫機能を集約したフルフィルメントセンターを設立した。これまではスリランカ国内の4拠点に部品を保管していたが、3万点を超える部品を1カ所で保管することで各地の需要への迅速な対応を目指す。フルフィルメントセンターでは、自動車や自動車部品を保管するほか、出荷前の検査なども行う。今後は、人工知能(AI)などの技術を活用し、配送体制の最適化も図っていく構えだ。

写真 トヨタランカ フルフィルメントセンター内の様子(ジェトロ撮影)

トヨタランカ フルフィルメントセンター内の様子(ジェトロ撮影)

(大井裕貴)

(スリランカ)

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