歳入減少を見込んだ5つの歳出改革を発表

(スイス)

ジュネーブ発

2023年01月31日

スイス連邦政府外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは1月25日、工業製品への関税撤廃などにより2024年の財政赤字を最大20億スイス・フラン(約2,820億円、1スイス・フラン=約141円)と見込んでいるところ、財政収支を均衡させるため、以下の5つの項目からなる歳出改革を主とする措置を進めていると発表した。当該措置の詳細については、2023年2月または3月に公表される予定。

項目および項目ごとの歳出削減額は以下のとおり。

  1. EUの研究開発支援プログラム「ホライズン・ヨーロッパ(2021年2月4日記事参照)」への拠出金を廃止する(6億スイス・フラン)。スイス連邦政府は同プログラムへの完全な参画を目指してきたが、2021年7月に欧州委員会から「非関連の第三国」の地位を有する旨を通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされた。EUが同プログラムにスイスを参画させることに消極的であるため、これを予算に計上しないこととなる。
  2. 軍事費の増加を2024~2026年の財政計画での計画より抑制する(3億スイス・フラン)。
  3. 電気自動車への税制優遇措置を改め、2024年から自動車税(輸入時、車両価格の約4%)を課す(2億スイス・フラン)。
  4. ウクライナ難民関連の支出は、通常予算ではなく特別経費として計上する。これにより、通常予算の均衡へ貢献することとなる(5億スイス・フラン)。
  5. 軍事費を除き、連邦各省庁が1%から2%の歳出削減を行う(2億スイス・フランから5億スイス・フラン)。

歳入不足が生じる要因の1つは、全ての輸入工業製品への関税撤廃だ。2024年1月1日に実施予定で、連邦予算としては約6億スイス・フランの歳入不足が生じる。政府は、法的基盤がすでに整っているとして、撤廃時期の延期を拒否した。

(竹上嗣郎)

(スイス)

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