アイルランドへのミッション派遣、オープンイノベーション支援へ

(アイルランド)

ロンドン発

2023年01月10日

ジェトロは20221129日から30日にかけて、アイルランドのスタートアップエコシステムの概要把握および現地関係者とのネットワーキングのため、ダブリンにミッションを派遣した。欧州各国の様々な分野の日系企業5社からイノベーション担当者が参加した。

初日は、ダブリンのインキュベーション施設ドッグパッチ・ラボ(Dogpatch Labs)でイベントを開催。同国のエコシステムに関する紹介ののち、日系企業による自社紹介や求める技術を説明するリバースピッチ、現地スタートアップ8社によるピッチ、現地エコシステム関係者によるパネルディスカッションが行われた。イベント後にはネットワーキングのほか、アイルランド発の次世代センサー企業プロビジオ(Provizio)の安全センサーを搭載した自動車の試乗も行われた。

まず、エコシステムについて、ダブリンのジェトロ・レジデントエージェントの尾関康之氏が紹介。外資企業比率が高く、ビジネスに友好的な同国の環境はスタートアップにとって有益だとした。英国ベンチャーキャピタル大手アトミコの報告書「ステート・オブ・ヨーロピアン・テック22」では、同国の特徴として、政府によるスタートアップに対するファイナンスや投資家・起業家に対する優遇税制が挙げられている。

その後、カーボンフットプリントの算出で削減の提案を行うソフトウェア企業や、農場の土壌の健全性などを計測する企業、電動キックボードなどマイクロモビリティ向けに人工知能(AI)を活用した歩道や障害物の検知技術などを提供する企業などによるピッチが行われた。

パネルディスカッションでは、産業開発庁、政府商務庁、スタートアップ支援ハブのポーターシェッド(Portershed、西部ゴールウェイ)、RDIハブ(南西部ケリー)から担当者が登壇。同国エコシステムの強みとして国内の各機関、企業の緊密な協力関係が挙げられた。起業家支援や、研究機関との共同研究などの取り組みを中心に、産業界やアカデミアが様々なかたちで連携しているとした。また、投資家も小規模ながら協力的であるほか、資金調達を行った起業家が他のスタートアップの支援を行うなどの寛容さも特徴との紹介があった。さらに、地理的な特性を生かし、米国と欧州、英国とEUとの架け橋になれるという点も強みだとのコメントがあった。

2日目は、参加企業の関心に合わせ、現地の研究開発機関や行政機関を訪問、参加企業からも好評を得た。

写真 パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

(山田恭之、尾関康之)

(アイルランド)

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