12月のカナダの消費者物価指数、前年同月比6.3%上昇

(カナダ)

トロント発

2023年01月19日

カナダ統計局が117日に発表した12月の消費者物価指数(CPI外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは前年同月比で6.3%上昇と、11月の上昇率(6.8%、2022年12月22日記事参照)を0.5ポイント下回って伸びが鈍化した。住宅ローンの金利負担の上昇幅が大きかったが、ガソリンや持ち家の建て替え費用の上昇幅が鈍化し、上昇率は抑えられた(添付資料表参照)。

統計局によると、世界経済の減速懸念に伴う原油価格の下落や、中国の新型コロナウイルス感染者数増加による需要減などに伴い、ガソリンは前年同月比で11月の13.7%増に比べ、12月は3.0%増にとどまった。前月比では12月に13.1%下落し、20204月以来の下落幅となった。

食料品は、11月の前年同月比10.3%上昇から12月は10.1%上昇と伸びが鈍化したものの、高止まりが続いている。そのうち家庭用食品は、11月の11.4%上昇から12月は11.0%上昇とわずかに鈍化し、過去5カ月間で11%前後の価格上昇率で推移している。

住居関連では、住宅市場の冷え込みが続く中、前年同月比で持ち家の建て替え費用(4.7%増)やその他の持ち家費用(2.5%増)が引き続き鈍化した。一方、住宅ローンは継続的な金利上昇で11月の前年同月比14.5%増に続いて、12月も18.0%増となった。

CIBCエコノミクスでエグゼクティブディレクターを務めるキャリン・シャルボノー氏は「食品・エネルギーを除く総合物価は、季節調整済みで前月比0.3%の上昇となり、前3カ月平均の0.35%をやや下回った。3カ月年率換算では3.7%となり、11月の4.3%から低下している。ただし、これには住宅ローン金利の急上昇が含まれており、カナダ中央銀行はコア・インフレ評価の際にこの事実に目を向けるべきだ。食品、エネルギー、住宅ローンコストを除いた季節調整済みインフレ率は12月に前月比で約0.2%上昇し、3カ月年率換算では約2.5%となった。このペースは(中銀の2%の)目標にかなり近い」と述べた。ただし、この場合でも「12月の雇用統計が好調で、労働市場が逼迫していることから、利上げを抑止するほどの材料にはならない」として、「中銀は0.25ポイントの利上げを行い、その後(2023年の)年内は利上げを休止する」と予測した(CIBCエコノミック・フラッシュ117日)。

次回の政策金利の発表は125日に予定されている。

(飯田洋子)

(カナダ)

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