医薬品や消費財など1,020品目の輸入関税率、1月1日から引き下げ
(中国)
北京発
2023年01月10日
中国国務院の関税税則委員会は12月28日、「2023年関税調整案に関する公告」(税委会公告2022年第11号)を発表した。1月1日から1,020品目(注)に対して、WTO加盟国に対する最恵国税率(MFN税率)より低い輸入暫定税率を適用するとした。今回の調整により、中国の平均輸入関税率はこれまでの7.4%から0.1ポイント低下し7.3%となる。
1,020品目に含まれる主な対象品目と調整目的は次のとおり。
- 抗がん剤原料、新型コロナウイルス感染症の治療薬原料、がんの疼痛(とうつう)薬にゼロ関税を適用。義歯、血管ステント用原料、造影剤などの医療用品の輸入関税率を引き下げる。患者の経済的負担を軽減し、国民の生活の質を改善。
- 乳幼児向けの混合食品、冷凍タラ、カシューナッツなどの食品、コーヒーメーカー、ジューサー、ヘアドライヤーなどの小型家電の輸入関税率を引き下げる。消費の高度化に対応。
- カリ肥料、未鍛造のコバルトなどにゼロ関税を適用。一部の木材、紙製品、ホウ酸などの輸入関税率を引き下げる。資源を供給する能力や産業チェーンやサプライチェーンの強靭(きょうじん)性の向上を推進。
- ニオブ酸リチウム、電子ペーパーディスプレー、燃料電池用酸化イリジウム、風力発電機用軸受けなどの商品の輸入関税率を引き下げる。先進製造業のイノベーションと発展を促進。
一方、国内産業の発展や需給の変化などを踏まえ、WTO加盟時に約束した範囲内で、クリや甘草およびその製品、大型タイヤ、サトウキビ収穫機などに適用していた輸入暫定税率を取り消し、より高いMFN税率を適用する。また、産業構造の高度化を促進するため、アルミニウムとアルミ合金の輸出関税率を引き上げる。
1月2日からはインドネシア原産品に対してRCEP協定税率を適用
中国が締結済みの19の自由貿易協定(FTA)などに基づき、29カ国・地域原産の一部品目に対して各協定税率を適用する。また、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に基づき、1月2日からインドネシア原産の一部品目に対してRCEP協定税率を適用した。さらに、WTO加盟協定書の一部の情報技術協定(ITA)に基づき、2023年7月1日から62品目の情報技術製品に対する輸入関税率について、第8弾の引き下げを実施する。
上海財経大学の韓軍・経済学教師は今回の税率調整について「中国の発展の現状と密接に関係している」と言及した上で、「各品目に対し、MFN税率より低い輸入暫定税率を適用することで、輸入商品の価格を下げ、国内の消費者や関連製造業に値下げのメリットを与える」との見方を示している(「北京商報」2022年12月30日)。
(注)2022年は954品目について輸入暫定税率が適用された。
(趙薇)
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