米NASA、低燃費の次世代旅客機開発でボーイングを支援

(米国)

ヒューストン発

2023年01月20日

米国航空宇宙局(NASA)は1月18日、低燃費の次世代旅客機の開発に向け、米国の航空宇宙分野大手ボーイングを支援すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。開発するのは、機内の通路が1つのナローボディ機で、主翼を長くかつ薄くし、胴体から伸びる支柱で主翼を支える設計することで、空気抵抗を減らし、燃費を改善するとしている。

NASAは4億2,500万ドルを出資し、ボーイングおよびそのパートナー企業は残りの約7億2,500万ドルを拠出する予定だ。また、支援の一環として、NASAはボーイングに対して、技術的な専門知識と施設を提供する。NASAは、既存の機内の通路が1つの小型機と比較して、燃料消費と二酸化炭素(CO2)排出量を最大30%削減することを目標としている。

発表によると、機内の通路が1つのナローボディ機は多くの航空会社の主力機で、その使用量の多さから、世界の航空機が排出するCO2の約半分を占めているとされる。NASAは、2020年代後半までに本プロジェクトの試験を完了する予定で、本プロジェクトで実証された技術や設計は、2030年代に就航が予定されている次世代の航空機に関する業界の意思決定に生かされるという。

NASAのビル・ネルソン長官は「NASAとボーイングのパートナーシップによるフルスケールの実証機の製造と試験により、より低燃費の民間航空機の開発につなげ、環境、民間航空業界、そして世界中の乗客に恩恵をもたらすことがわれわれの目標だ。成功すれば、2030年代に乗客が利用する航空機に、これらの技術が実装されるかもしれない」と述べた。

国際民間航空機関(ICAO)は、航空機が排出するCO2を2050年までに実質ゼロとする目標を掲げており、2024年以降は2019年比で排出量を15%削減、もしくはオフセットすることが求められる。本プロジェクトは、米国が2050年までに航空機が排出するCO2を実質ゼロとすることに貢献するとともに、航空部門における2050年までのカーボンネットゼロ達成に向けた行動計画(2021年11月16日記事参照)で明示された環境目標の1つに位置付けられているとしている。

(沖本憲司)

(米国)

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