バイデン米政権、連邦政府の建物建築基準発表、2003年比で化石燃料消費の90%削減義務付け

(米国)

ニューヨーク発

2022年12月09日

米国ホワイトハウスは12月7日、連邦政府に適用する建築性能基準を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。それによると、2030年までに連邦政府所有建物の30%(面積べ―ス)で、スコープ1(注)の温室効果ガス(GHG)排出量ゼロを目指す。米政府は2045年までにすべての連邦政府の建物でのカーボンネットゼロ達成を目標に掲げており、その達成に向けてより具体的な目標を設定したかたちだ。

エネルギー省およびホワイトハウスによると、住宅および商業ビルからの二酸化炭素(CO2)排出は米国全体の35%を占めている。また、連邦政府の建物でのエネルギー使用によって排出されるGHGは、連邦政府による排出量全体の25%以上を占める。結果として、民間および政府機関の建物によって、毎年1,900億ドルに相当するエネルギーが消費されている。2050年時点でも既存建物の80%が稼働すると予想されているため、既存建物の電化を通じた効率化は、政権の目標達成のため不可欠と指摘している。

エネルギー省の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、今回発表された建築性能基準では、新築または改修された連邦政府の施設について、建物でのエネルギー消費による排出量を2003年比で90%削減することが求められる。今回の新規則により、今後30年間で連邦政府の建物からのCO2排出量は186万トン、メタンガス排出量は22万8,000トン削減でき、これは約30万世帯が1年間で排出する量に相当するとしている。また、初期建設費用は年間800万ドル削減できるとしている。連邦政府に対するエネルギーおよび気候性能の建物基準の作成は今回が初めてで、既存の30万もの連邦政府の建物が新規則の対象となる。

またホワイトハウスは、政権がイニシアチブをとる全国建築性能基準連合外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにカリフォルニア州が加わったことも発表した。同連合は、全国の建物建築性能基準向上を目指すもので、コロラド州、ワシントン州、ニューヨーク市や首都ワシントンなど現時点で30超の州や自治体が参加している。新規則制定と、気候変動対策をリードするカリフォルニア州の同連合への参加によって、関連した動きは他の自治体などにも今後広まっていく可能性もある

(注)GHG排出量の算定、報告の基準の1つ。スコープ1では、事業者自らによるGHGの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)を対象にする。スコープ2は、他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出が対象。スコープ3では、スコープ1とスコープ2以外の間接排出(事業活動に関連する他社の排出)が対象となる。

(宮野慶太)

(米国)

ビジネス短信 fe941ec29b92183f