パリでウクライナ支援の国際会議、10億ユーロ超の支援を約束

(フランス、ウクライナ)

パリ発

2022年12月20日

フランス・パリでウクライナ支援に向けた国際会議が12月13日に開催された。エマニュエル・マクロン大統領、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領(ビデオ参加)、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長をはじめ、日本を含む47カ国と24の国際機関から約70人が参加し、エネルギー、水道、食糧、医療、輸送の5つの主要インフラに総額10億ユーロを超える支援を約束した。ゼレンスキー大統領は冒頭のスピーチでウクライナが今冬を越すために8億ユーロの資金が必要だと訴えたが、今回の国際会議ではこれを上回る資金が集まった。

フランス外務省の発表によれば、10億300万ユーロの支援のうち、エネルギー分野に4億1,500万ユーロ、水道分野に2,500万ユーロ、食糧分野に3,800万ユーロ、医療分野に1,000万ユーロ、輸送分野に2,200万ユーロがそれぞれ振り向けられる。残りの4億9,300万ユーロは今後、配分を決める。

フランスからの支援は1億2,500万ユーロとなる。上記5つの分野に合わせて7,650万ユーロ、緊急人道支援に4,850万ユーロを支援する。エネルギー分野では、爆撃による発電所の破壊で電力供給が困難に陥っていることに配慮し、63基の発電機・変電設備やLEDランプの購入などに合わせて2,650万ユーロの支援を行う。そのほか、水道分野に500万ユーロ、食糧供給に1,400万ユーロ、医療分野に800万ユーロを支援する。

12月13日には、ウクライナの経済復興に関するフランスとウクライナの2国間会議も開催された。フランス企業約700社の代表が参加し、2国間の経済協力強化について協議した。経済・財務・産業およびデジタル主権省の発表によれば、フランスは欧州復興開発銀行(EBRD)と、インフラ支援に1億ユーロの公的信用保証を供与する協定に調印した。フランス政府と欧州復興開発銀行がリスクを分担することで、ウクライナの国営ガス会社ナフトガスおよび国営ウクライナ鉄道の2社に2億ユーロの流動性資金を供与することが可能になる。

ブリュノ・ル・メール経済・財務・産業およびデジタル主権相とウクライナのデニス・シュミハリ首相が、ウクライナの鉄路修復に必要な部品調達に関わる融資協定に調印したほか、フランス企業による橋梁(きょうりょう)、種苗の供給に関わる契約が結ばれた。デジタル分野では、両国のスタートアップ企業の連携を促進するとともに、ウクライナにおけるスタートアップ企業およびエコシステム整備を支援することで合意した。

(山崎あき)

(フランス、ウクライナ)

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