米民主党、バイデン前副大統領を大統領候補に正式指名

(米国)

ニューヨーク発

2020年08月24日

米国のジョー・バイデン前副大統領は8月18日、民主党全国大会で同党の大統領候補として正式に指名され、大会最終日の20日、指名受諾演説を行った。党大会は8月17~20日にウィスコンシン州ミルウォーキーで開催されたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で多くの行事がオンラインで実施され、バイデン候補も自宅のあるデラウェア州から演説を行った。

バイデン候補は演説冒頭、トランプ大統領について、米国を暗黒で覆い、怒りや恐怖、分断を生む存在と批判した上で、「われわれはこの暗黒期を乗り越えられる」と述べ、団結を呼び掛けた。また、新型コロナウイルスの感染拡大や経済危機、人種差別、気候変動の脅威の下、トランプ大統領が必要な対策を講じていないと指摘。特に感染拡大については、カナダや欧州、日本を引き合いに、本来であれば米国も被害を軽減できたとの見方を示し、自身が大統領に就任した暁には初日からマスク着用の義務化などの取り組みを通じて、国民を守ると約束した。

バイデン候補は党大会2日目(8月18日)に大統領候補としての指名を正式に受けた。バイデン氏は4月に民主党内の指名争いに事実上勝利していたが(2020年4月9日記事参照)、今回の党大会で選挙代議員による投票が行われ、代議員全体の半数を上回る3,558票を獲得した。指名を最後まで争ったバーニー・サンダース上院議員(バーモント州)は1,151票を得た。サンダース議員は党大会に参加し、「トランプ大統領が再選すれば、われわれの進歩が危機にさらされる。私は中道派や保守派とも協力し、脅威から国を守る」と述べた。

副大統領候補にはハリス連邦上院議員

党大会では、副大統領候補に選ばれたカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州)も指名受諾演説を行い、「われわれは悲劇を政治の武器に利用する大統領を抱えている。ジョー(・バイデン)は困難を決意へと変える大統領になる」と述べ、国家再建や人種差別解消に取り組む意向を示した。このほか、バラク・オバマ前大統領も演説を行い、トランプ氏を「職務に注力せず、共通解を探らず、権力を人助けではなく自らと知人のために行使した」と批判した。前回選挙の大統領候補だったヒラリー・クリントン元国務長官も登壇し、自らが総得票数で勝りながらもトランプ大統領に敗北した経験を踏まえ、「圧倒的な数をもってトランプ氏に付け込まれないようにしなければならない」と、有権者にバイデン候補への投票を求めた。

「ウォールストリート・ジャーナル」紙は、党大会でバイデン候補の経歴や人柄に焦点が当たり、特に同候補が演説した大会最終日は政策に関わる演説や議論が少なかったと指摘した。バイデン候補は、中国など他国に依存しないかたちで医療用品を拡充させるなどのコロナ対策のほか、経済面ではインフラ再建やクリーン・エネルギー産業の振興、富裕層や大企業への増税など、発表済みの公約(2020年7月14日記事参照)の一部に言及するにとどまった。

共和党の大統領候補に関しては、8月24~27日に同党全国大会がノースカロライナ州シャーロットで開催され、トランプ大統領が指名を受ける見通し。その後、大統領候補同士による討論会が9月29日以降3回にわたって予定されている。

(藪恭兵)

(米国)

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