稼働停止していたキーストーン・パイプライン、一部再開

(カナダ、米国)

トロント発

2022年12月19日

カナダのエネルギー輸送大手のTCエナジー(本社:アルバータ州カルガリー)は12月14日、米国カンザス州での原油漏れで稼働停止していたキーストーン・パイプライン・システムの一部操業を再開したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同システムでは、12月7日に同州ワシントン郡の小川への原油流出がみつかり、全パイプラインの稼働を停止していた(2022年12月9日記事参照)。

稼働が再開するのは、カナダのアルバータ州ハーディスティから米国イリノイ州パトカまでの区間で、原油漏れにより影響を受けた区間では、引き続き事故原因や環境への調査、復旧作業が続いており、稼働は停止したままとなっている。同社によると、米国の規制当局であるパイプライン・危険物安全局(PHMSA)から安全が確認され、承認が得られるまで事故があった区間での再稼働は行われないという。

同社は、原油の流出量を1万4,000バレルにのぼると推計している。米国中部時間12月16日午前8時時点の同社更新情報によると、カンザス州ワシントン郡の原油流出現場であるキーストーン・パイプライン・システム・マイルポスト14での原油回収作業は継続中で、12月15日午後5時時点で小川から4,125バレルの原油(7,397バレルの原油および水)を回収したという。

今後の見通しについて、エネルギーコンサルティング企業TPH&Co.のマット・マーフィー・エネルギー調査ディレクターは「短期的には、代替輸送手段が限られているため、貯蔵されるカナダの原油が増えることになるだろう。鉄道による原油の輸送には長いリードタイムが必要で、(別のエネルギー輸送企業である)エンブリッジの『メインライン』は今月、ほぼ満杯の状態で稼働している」と述べている(「グローブ・アンド・メール」紙12月15日)。

(飯田洋子)

(カナダ、米国)

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