カナダのTCエナジー、米国カンザス州の原油流出でキーストン・パイプラインを稼働停止

(カナダ、米国)

トロント発

2022年12月09日

カナダのエネルギー輸送大手のTCエナジー(本社:アルバータ州カルガリー)は12月8日、米国カンザス州ワシントン郡の小川への原油流出を確認したため、原油輸送を行っている「キーストーン・パイプライン・システム」を停止し、人員と設備を動員して対応したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

同社では、アラームとシステム内の圧力低下を検出後、事故発生時プロトコルに従って、12月7日午後8時(米国中部標準時)ごろに緊急停止対応を開始した。影響を受けた部分は、下流への放出を制御するため隔離された。作業員が油の封じ込めと回収作業を行っている間、システムは停止したままだという。ロイター(12月8日)によれば、流出量は1万4,000バレルを超える。復旧時期は明らかになっていない。

全長4,234キロにおよぶキーストーン・パイプライン・システムは、カナダ産原油をカナダ・アルバータ州から米国中西部、さらにメキシコ湾岸へと輸送しており、カナダの石油輸出網の重要な一翼を担っている。TCエナジーによると、同パイプラインは、米国中西部およびメキシコ湾岸の精製業者によるカナダ産原油需要の約5分の1を輸送しており、2010年の稼働以来、輸送量は36億バレル以上に上っていた。

同社では2022年11月15日にも天候に起因する深刻な事故により、同パイプラインの輸送量を一時削減すると発表していたが、規模や期間は明らかにされていなかった。

今回の原油流出について、同社は「われわれが最も重視しているのは、現場従業員と周辺コミュニティー住民の健康と安全、そして下流での環境リスク軽減であり、封じ込めとさらなる流出の防止に努めている」として、詳細情報を入手次第、新たに発表を行う予定であることを明らかにしている。

(飯田洋子)

(カナダ、米国)

ビジネス短信 0adf9d6c1b67c0e9