ロシア進出日系企業実態調査、赤字見込みは過去最高

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2022年12月07日

在ロシア日系企業は苦境に立たされている。ジェトロは12月7日、2022年度海外進出日系企業実態調査(ロシア編)の結果を発表した。2022年の営業利益見込みについて「赤字」と回答した企業の割合は前年比41.7ポイント増の50.0%と、本調査を始めた2013年度以降で最高を記録した。「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻により事業が停止している」といったコメントがみられた。「黒字」を見込む企業の割合は38.3ポイント減の35.5%と過去最低となった。

前年と比較した2022年の営業利益見込みについて、「悪化」と回答した企業は前年比62.7ポイント増の71.0%と過去最高になった。「ウクライナ情勢に起因する売り上げ減」「自国・他国政府の貿易制限措置による影響」などが要因として挙げられた。「改善」見込みの企業は48.6ポイント減の14.5%と、新型コロナ禍による影響が顕著だった2020年(10.9%)に次いで過去2番目に低い結果となった。

今後1~2年の事業展開に関する見方については、「縮小」と回答した企業は48.3%(前年比44.7ポイント増)、「第三国(地域)へ移転・撤退」は8.3%(7.1ポイント増)といずれも過去最高になった。「縮小」および「第三国(地域)へ移転・撤退」をする理由について、「自国・他国政府の貿易制限措置による影響」を挙げた企業が最も多かった。また、「経済制裁解除のめどが立たない」(輸送用機器(自動車/二輪車))、「供給が戻っても、安価な中国製やロシア国内製品が主流となり、高額である輸入品購入が減ると考えられる」(その他製造業)、「ロシア事業継続によるレピュテーションリスクがある」(商社)といったコメントがみられた。

今回の調査は2022年9月に実施した。ロシアに現地法人(日本からの直接投資または間接出資比率が10%以上)や支店の形態で拠点を構えている企業106社に送付し、うち62社(製造業11社、非製造業51社)から回答を得た。調査は2013年度から毎年実施しており、今回で10回目。調査結果の詳細はジェトロ・ウェブサイトに掲載されている。

(宮下恵輔)

(ロシア)

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