ビジネスコスト上昇などで黒字企業の割合が減少、海外進出日系企業実態調査(中東編)

(中東、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、トルコ、イラン、イスラエル、ヨルダン、カタール、クウェート、バーレーン、オマーン)

中東アフリカ課

2022年12月21日

ジェトロは12月20日、「2022年度海外進出日系企業実態調査(中東編)」の結果を発表した。同調査は、9月8~30日に中東10カ国〔アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、トルコ、イラン、イスラエル、ヨルダン、カタール、クウェート、バーレーン、オマーン〕に進出する日系企業245社を対象に実施、224社から回答を得た(有効回答率91.4%)。

2022年の営業利益見込みについて、中東10カ国全体では56.7%の企業が黒字を見込むと回答。前年調査(2021年9月実施)から8.5ポイント減少し、世界平均(64.5%)(2022年11月24日記事参照)を下回ったものの、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年の水準(52.3%)は上回る結果となった。

国別では、UAEは7割、サウジアラビア、トルコ、カタールは5割以上の企業が黒字と回答。サウジアラビアは10カ国の中で唯一、黒字企業の割合が前年から増加(1.9ポイント増)した。一方、イスラエルは前年から大幅に減少(28.8ポイント減)、引き続き経済制裁下のイランでは赤字(41.7%)の割合が黒字(8.3%)の割合を大きく上回った。

2022年の営業利益見込みを前年比で聞いた設問では、横ばいと回答した企業が55.7%。2023年も横ばいの見通しが6割以上に拡大し、国別でも全ての国で横ばいが過半を占めた。

ロシアによるウクライナ侵攻については、「大いに影響がある」「やや影響がある」と回答した企業が合わせて約7割に上り、原材料・部品価格や資源・燃料費などのビジネスコストの上昇の影響が見られた。

今後1~2年の事業展開については、「拡大」と回答した企業が前年から8.5ポイント増の48.7%で最多の回答となった。「現状維持」は47.8%で前年比8.5ポイント減だった。事業拡大の理由としては「成長性、潜在力の高さ」(49.1%)、拡大する機能としては「販売機能」(71.8%)が最多の回答だった。

(稲山円)

(中東、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、トルコ、イラン、イスラエル、ヨルダン、カタール、クウェート、バーレーン、オマーン)

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