ベルギーの半導体研究機関imec、次世代半導体の開発でラピダスと連携強化へ

(ベルギー、日本)

ブリュッセル発

2022年12月09日

ナノエレクトロニクスとデジタル技術分野の世界的な研究機関のベルギーのimec(アイメック、本部:ルーバン)は12月6日、トヨタ自動車など8社が出資する半導体メーカーのラピダスと、次世代半導体の開発で協力していく協力覚書(MOC)を締結したと発表(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。MOCの下でimecとラピダスは最先端半導体技術の研究に関して、長期的かつ持続的な協力関係を構築していく。署名式には、ベルギーの経済ミッション(2022年12月8日記事参照)で来日しているフランダース政府のヤン・ヤンボン首相(注)と西村康稔経済産業相が立ち会い、日本とフランダース地域の半導体産業の連携を強化することを確認した。

ラピダスは、最先端の2ナノメートル・プロセス技術を用いた半導体を2020年代後半に量産することを目指している。この超微細半導体は、第5世代移動通信システム(5G)や量子計算、データセンター、自律走行車両、デジタルスマートシティーなど幅広い分野への活用が期待されており、imecはその研究開発を支援する。具体的には、ラピダスをimecの先端ナノエレクトロニクス研究プログラムの中核パートナーに据えることで、戦略的パートナーシップを構築する。また、日本の次世代半導体の研究開発拠点として設立が予定されている技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)との連携も視野に入れるとしている。

MOC締結に立ち会ったヤンボン首相は「フランダース地域は、imecに加えて5つの大学を中心に、ナノテクノロジー分野で専門的なノウハウを確立しており、イノベーションとその応用の環境が整っている」とし、今回の国際的なパートナーシップが両国・地域のマイクロチップやナノチップ分野で競争力を高める上で、これまで以上に重要なカギとなるとコメントした。

EUでも、域内での半導体の研究開発・生産の強化と安定供給を目指しており(2022年2月10日記事参照)、この目標のためにimecは、フランスの国立研究機関の代替エネルギー・原子力委員会・電子情報技術研究所(CEA-Leti)と、ドイツのフラウンホーファー研究機構とともに主要な役割を担っている。

(注)ベルギーは連邦制で、産業政策は各地域政府が管轄している。

(大中登紀子)

(ベルギー、日本)

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