ウクライナのゼレンスキー大統領が訪米、バイデン米政権は20億ドル近い追加支援発表

(米国、ウクライナ、ロシア)

ニューヨーク発

2022年12月22日

米国のジョー・バイデン大統領は12月21日、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領をホワイトハウスに迎えて首脳会談を行った。米国務省は同日、パトリオット防空システムの初めての供与を含む18億5,000万ドルに及ぶ新たなウクライナへの軍事支援外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。

ゼレンスキー大統領による外国訪問は、2022年2月にロシアがウクライナに侵攻して以来、初めて。首脳会談後の共同記者会見で、バイデン大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が自ら戦争から手を引くことはないとの見通しを示した上で、「ウクライナがこのいわれのない不当な戦争に勝利するまで米国は寄り添う」として、米国の姿勢を強調した。その上で、連邦議会が現在調整を行っている2023年度(2022年10月~2023年9月)の連邦政府予算の歳出法案について、450億ドル規模のウクライナ支援予算を含んで成立させたいとの意向を示した。

ゼレンスキー大統領は会見の冒頭、米国や同盟・友好国に対する感謝を伝えるために訪米したと発言した。米連邦議会による超党派の理解・協力にも謝意を表明した上で、2023年度の歳出法案の可決に期待を示した。連邦議会では共和党議員から、財政緊縮の観点から「ウクライナに白地小切手を与え続けるべきではない」との意見も出ており、ゼレンスキー大統領の発言には、そうした連邦議会の反発勢力を説得する意味合いもあったと考えられる(2022年12月19日記事参照)。また、同大統領は米国務省が今回公表したパトリオット防空システムの供与について、ロシアの攻撃からウクライナの国土、特にエネルギーインフラを守るために重要なステップと評価した。冬を迎えてロシアが意図的にウクライナのエネルギーインフラを狙っているとの見方もあり、バイデン大統領も会見中に「ロシアは冬を武器に使おうとしている」と非難した。

なお、ゼレンスキー大統領は首脳会談の後、米連邦議事堂で議会に向けた演説を行った。

(磯部真一)

(米国、ウクライナ、ロシア)

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