優先分野の企業に外国人就労査証発行枠を拡大、新スキーム開始

(シンガポール)

シンガポール発

2022年12月19日

シンガポールの貿易産業省と人材省は12月13日、経済成長を支える戦略分野で活動する企業を対象に、低・中熟練の外国人労働者向け就労査証の発給枠を増やす「戦略的経済分野優先(M-SEP)スキーム」の開始を発表した。人材省は同日から、企業からのM-SEPスキーム申請の受け付けを開始した(注1)。

人材省は同国で就労する外国人の給与や職務経験などに応じ、低熟練労働者向けに「ワークパミット(WP)」、中技能向けに「Sパス」、幹部・専門職向けに「エンプロイメントパス(EP)」を発給している。このうち、WPとSパスについては、業種と国籍に応じて1社当たり雇用可能な人数の上限を設定している(注2)。M-SEPスキームは、戦略的な分野で事業を展開する企業に対し、WPとSパスについて既存の発給枠を上回る両パスの発給を認めるというもの。同スキームの対象企業は、雇用する全労働者(国民、永住権者、Sパス保持者、WP保持者の合計数)の最大5%まで、既存の発給枠に追加してSパスとWPを取得できる(各社50人が上限)。

同スキームの対象となる企業は、(1)経済開発庁(EDB)、シンガポール企業庁(エンタープライズSG)、情報通信開発庁(IMDA)、シンガポール海事港湾庁(MPA)、シンガポール観光庁(STB)が管轄する支援策の適用、(2)国民(永住権者を含む)の採用拡大か、研修への取り組みが条件となる(注3)。M-SEPの適用期間は2年間で、条件を満たせば延長も可能だ。

タン・シーレン人材相は発表の中でM-SEPスキームの導入について「革新的で、多大な投資活動を行い、積極的な国際化を計画する企業を、外国人労働力を補完することで支援したい」と述べた。人材省は近年、WPとSパスの発給枠を段階的に縮小している。同省は、建設分野とプロセス分野(石油、石油化学、製薬関連プラントなど)のWPについて2024年1月から、発給の上限を現行の87.5%から83.3%へと引き下げる予定。

(注1)M-SEPスキームの申請は人材省のサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますからオンライン申請。

(注2)Sパスの発給上限外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとWPの業種ごとの発給枠外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますはそれぞれ人材省のサイト参照。

(注3)同スキームの対象となるEDBや企業庁などの支援策のリスト、国民の研修条件などの詳細は人材省の資料PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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