米11月雇用者数は26.3万人増、失業率3.7%で横ばい、時給伸び加速

(米国)

ニューヨーク発

2022年12月05日

米国労働省が12月2日に発表した11月の非農業部門雇用者数は前月から26万3,000人増PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、市場予想の20万人増を上回った。就業者数は13万8,000人、失業者数は4万8,000人、それぞれ減少した。失業率は、前月から横ばいの3.7%(市場予想も3.7%)だった(添付資料図参照)。

失業者のうち、一時解雇の失業者は前月(84万7,000人)より4万4,000人減の80万3,000人、恒常的失業者は前月(124万1,000人)より12万7,000人増の136万8,000人だった。

労働参加率(注)は、生産年齢人口が前月から17万3,000人増加し、労働力人口が前月から18万6,000人減少した結果、前月から0.1ポイント低下の62.1%だった。

平均時給は32.82ドル(前月:32.64ドル)で、前月比0.6%増(前月:0.5%増)、前年同月比5.1%増(前月:4.9%増)と前月比、前年同月比でともに上昇した(添付資料表1参照)。

11月の雇用者数の前月差26万3,000人増の内訳をみると、民間部門は22万1,000人増で、うち財部門が3万7,000人増、主な業種として製造業は1万4,000人増、建設業は2万人増だった。サービス部門は18万4,000人増で、教育・医療サービス業8万2,000人増、娯楽・接客業8万8,000人増の2業種が増加を牽引した。一方で、年末商戦を迎えつつある小売業は3万人減、運輸倉庫業は1万5,000人減となっている。なお、政府部門は4万2,000人の増加だった(添付資料表2参照)。

11月の人種別失業率は、白人3.2%(前月3.2%)、アジア系2.7%(前月2.9%)、ヒスパニック・ラテン系3.9%(前月4.2%)、黒人5.7%(前月5.9%)と白人以外で改善した。

雇用動態調査(JOLTS)によると、10月の求人数は1,033万件だった。10月から11月にかけて失業者数は600万人強なので、失業者1人につき1.7件の求人があることになる。ピーク時の約2件から鈍化しているものの、労働需給はまだまだタイトだ。特にサービス業でその傾向は顕著で、時給の伸びに表れている。財部門の11月の時給伸びは全体平均5.1%(前年同月比)よりも大幅に低い4.4%であるのに対して、需給逼迫からサービス部門は同5.3%と全体を押し上げている形だ。賃金の伸びが高止まりのままだと、コスト転嫁から、高インフレを加速させる可能性が高く、労働需給、特にサービス部門の逼迫がいつ鈍化するか、今後注目が集まる。

(注)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(宮野慶太)

(米国)

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