環境ビジネス、アジア各国の環境規制の局面ごとでニーズを見出す

(中国、東南アジア、南西アジア、タイ、インドネシア、インド)

海外市場開拓課

2022年12月12日

ジェトロは1124日、大気汚染、土壌浄化、廃棄物処理、リサイクルなどグリーンビジネス分野でアジア地域(北東アジア、東南アジア、南西アジア)への環境関連製品の輸出を⽬指す⽇本企業向けに、アジア地域の環境ビジネスをテーマにウェビナーを開催した(202212月12日202212月12日202212月12日記事参照)。アジアにおける日本企業の環境分野でのビジネス展開事例として、分析・計測機器の製造・販売とサービスを手掛ける堀場製作所の事業を紹介する。

環境対策で計測技術に商機を見出す

堀場製作所は、「はかる」技術でグローバルに事業展開しており、外国人従業員の比率は6割以上に達する。同社の海外営業部の小林剛士マネージャーは「海外ネットワークから得られた現地の環境規制や産業動向などの幅広い情報が、当社の事業展開上の強みだ」と述べた。

環境ビジネスでは、環境汚染発生を受けた環境規制に伴うビジネス、環境が改善してきた段階での生産性向上などのためのいわゆる「非規制ビジネス」があり、いずれにおいても改善状況をより正確に計測するニーズが生じる。こうした状態を小林氏は「ダイエットをする人は必ず体重計に乗る」と例えた。

アジア各国・地域の環境規制の政策動向に関して、小林氏は「中国では政府主導で、世界で最も厳しい環境規制の達成を目指しており、環境保護税を課す範囲を拡大している」とし、「都市単位では、例えば上海市は中国国内で先駆けてVOCs(揮発性有機化合物)の規制に乗り出し、当社は人的交流も含めた技術供与で新たな規制に伴う計測ニーズに応えることができた」と述べた。東南アジア諸国の動向については、「タイは新しい環境規制を2023年半ばに打ち出す予定で、自主規制に乗り出す一方、インドネシアでは環境規制当局の規制整備のための予算が確保されていない状況」と、国によって環境対策への取り組み状況に差異がある点を強調した。一方、インドは各州の環境規制機関が主体となって環境対策を講じているため、「州ごとに取り組み状況に違いがあり、特定分野での対策の遅れに当社で協力したい局面もあるが、それが難しかった」とした上で、「こちらが正しいからと押し付けるのではなく、現地状況を理解しながら進めないと事業化しないのがインドの特徴」と付け加えた。小林氏は最後に「中国での環境事業モデルをインドにそのまま持ち込むことはできないが、中国で得られた経験を生かすことは可能だ」と締めくくった。

写真 堀場製作所の小林氏による講演の模様(ジェトロ撮影)

堀場製作所の小林氏による講演の模様(ジェトロ撮影)

(桑原繁)

(中国、東南アジア、南西アジア、タイ、インドネシア、インド)

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