環境ビジネス、モデルケースとなる技術の投入で商機拡大(ベトナム)

(ベトナム)

海外市場開拓課

2022年12月12日

ジェトロは1124日、大気汚染、土壌浄化、廃棄物処理、リサイクルなどグリーンビジネス分野でアジア地域(北東アジア、東南アジア、南西アジア)への環境関連製品の輸出を⽬指す⽇本企業向けに、アジア地域の環境ビジネスをテーマにウェビナーを開催した(202212月12日202212月12日記事参照)。アジアにおける日本企業の環境分野でのビジネス展開事例として、空調制御システム、省エネ技術・サービスなどを主な事業とする裕幸計装のベトナムでの事業を紹介する。

将来性のある市場へ技術と人材を惜しみなく投入

ウェビナーに登壇した裕幸計装海外事業部の戸倉史朗部長は「自社の成長のためには新規市場開拓が必要。2国間クレジット制度(JCM)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの事業として採択されたことが海外展開の大きな契機だった」と振り返る。同社の海外展開の主軸は、ベトナムでの発電に際する二酸化炭素(CO2)削減などの省エネ事業。主に高効率変圧機や空調制御装置などの導入を提案した結果、ベトナム政府が定める関連機器の調達基準が変更されるなど、大きな成果につながった。戸倉氏は「当初は現地企業からの受注がほとんどなかったが、進出日系企業にアプローチするなど、柔軟にターゲットを修正して積極的な営業を行った」とし、「組織の意思決定が遅れることで受注チャンスを逃すこと避けるため、専任の役員クラスを駐在させた」と話した。

現地での環境対策への企業の意識に関して、戸倉氏は「ベトナムは人件費が安いため、現地企業は依然として意識が薄いが、省エネルギーが国の重要政策として推進されており、エネルギー関連の法整備とともに企業の省エネ意識も向上するだろう」と期待する。

最後に、戸倉氏は「技術と人材という資源を集中投入したベトナム事業で、既存事業では得られなかった経験と現地での豊富な人脈が得られた」と総括した。同社は今後、ベトナムにおいて、省エネ診断の技術や省エネ運用支援業務で、さらなる市場開拓を目指している。

写真 裕幸計装の戸倉氏による講演の模様(ジェトロ撮影)

裕幸計装の戸倉氏による講演の模様(ジェトロ撮影)

(桑原繁)

(ベトナム)

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