チリ中銀、政策金利を11.25%に据え置き、2023年成長率を下方修正

(チリ)

サンティアゴ発

2022年12月15日

チリ中央銀行は12月6日の金融政策決定会合で、政策金利を11.25%に据え置くことを全会一致で決定した。中銀は2021年7月から11会合連続で利上げを行ってきたものの、前回の会合時に示唆されていたように(2022年10月19日記事参照)、しばらくは11.25%を維持するとみられる(添付資料図1参照)。

中銀は、世界的なインフレ圧力は依然として高く、世界経済の成長見通しは下方修正され続けていると前置きした上で、国内金融市場は世界の動向と類似しており、国内経済は2021年の過剰な支出増加の後も調整プロセスを続けていると説明している。また、雇用の減少や実質賃金の低下、インフレ率が高水準の状況下では消費者のマインドも悲観的になっており、大半の経済ファンダメンタルズで今後の投資が脆弱(ぜいじゃく)になることを示していると警告した。

チリ統計局(INE)の12月7日付の発表によると、11月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前月比1.0%、前年同月比13.3%と前月比、前年同期比双方とも10月より上昇した(添付資料図2参照)。食品や飲料(酒類を除く)に加え、燃料価格の高騰を背景とした交通費が上昇を続けている。

中銀は、金融政策報告書の中で、2022年のGDP成長率は2.4%、2023年はマイナス1.75%~マイナス0.75%になるとし、2023年はリセッションの予想を発表した。2022年9月に発表した同報告書では、マイナス1.5%~マイナス0.5%としていたため、下方修正となっている。中銀は、勢いを失った労働市場、家計や企業の期待が悲観的であること、悪化する為替レート、あらゆる種類の信用に対する厳しい金融条件などを考慮して、2023年は消費と投資が減少すると予想し、下方修正するに至ったと説明している。

次回の金融政策決定会合は2023年1月25、26日に開催される予定となっている。

(岡戸美澪)

(チリ)

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