政策金利が11.25%に到達、中銀は今後の金利据え置きを示唆

(チリ)

サンティアゴ発

2022年10月19日

チリ中央銀行は10月11、12日の金融政策決定会合で、政策金利を11.25%に引き上げることを決定した。上げ幅は0.50ポイント〔前回9月の会合では1.00ポイントの利上げ(2022年9月12日記事参照)〕で、11会合連続の利上げとなった(添付資料図1参照)。ロサンナ・コスタ中銀総裁は「今回の政策金利は2021年7月から始まったサイクルで最も高い水準に到達した。インフレを政策目標内に抑えるために、この金利水準をしばらく継続するだろう」と明らかにしている。

関連して、チリ統計局(INE)の10月7日付の発表によると、9月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前月比0.9%だった(添付資料図2参照)。2021年2月以降上昇を続けていた前年同月比の値は13.7%で、前月の14.1%から19カ月ぶりの微減となった。

上昇率を費目別にみると、前月比で上昇率が最も高かったのは、食品・飲料(酒類を除く)の2.3%で、肉類や乳製品、卵、トマトなどの価格上昇が押し上げ要因となった(添付資料表参照)。これら食品の価格上昇については、9月中の独立記念日による連休期間に一時的に需要が高まったことも一因となっている。一方で、交通は航空輸送サービスの価格の低下により、上昇率は前月比でマイナス0.2%となった。ただし、前年同月比でみると、いまだ価格高騰が続く燃料価格を背景に、食品・飲料に次ぐ16.5%増となっている。

CPIに連動して、UF(注)も上昇している。中銀によると、9月の1UFは3万4,059ペソ(約5,109円、1ペソ=約0.15円)で、8月から443ペソ上昇した(添付資料図3参照)。チリでは家賃や住宅ローン、消費者ローン、学校の授業料、建設費、年金、保険などの支払いにUFが使用されており、その上昇によって家計への負担増加が加速している。

中銀は、今後の国内経済の推移に引き続き注意を払いつつ、必要な金融政策を柔軟に実施することで、インフレの目標値の年率3%の達成に努めるとしている。次回の金融政策決定会合は12月6日に開催される予定。

(注)消費者物価指数の変動率に応じて調整される価値修正インデックス。Unidad de Fomentoの略。

(岡戸美澪)

(チリ)

ビジネス短信 a4d55c49605a4221