11月の米消費者物価、前年同月比7.1%上昇で5カ月連続鈍化、コア指数も6.0%と鈍化

(米国)

ニューヨーク発

2022年12月14日

米国労働省が12月13日に発表した11月の消費者物価指数(CPI)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、前年同月比7.1%上昇となり、前月の7.7%から大幅に減速し、民間予想の7.3%を下回った(添付資料図参照)。変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数も6.0%上昇で前月の6.3%から鈍化し、民間予想の6.1%を下回った。前月比ではCPIは0.1%上昇(前月0.4%上昇)、コア指数0.2%上昇(0.3%上昇)、民間予想はともに0.3%だった。

品目別に前年同月比でみると、ガソリンは10.1%上昇(前月17.5%上昇)と大幅に伸びが鈍化し、前月比では2.0%下落と2カ月ぶりにマイナスとなった。食料品は10.6%上昇(10.9%上昇)と伸びが3カ月連続で鈍化し、内訳でも家庭用食品、外食ともに伸びが鈍化した。財は3.7%上昇(5.1%上昇)と伸びが大きく鈍化し、前月比では0.5%下落と2カ月連続でマイナスだった。うち中古車は3.3%下落(2.0%上昇)、前月比では2.9%下落し5カ月連続でマイナスになった。新車は7.2%上昇と7カ月連続で鈍化した。一方で、サービスは6.8%上昇(6.7%上昇)と伸びが加速し、物価全体の約3割のウエートを占める住居費が7.1%上昇(6.9%上昇)と引き続き伸びが加速している。そのほか、輸送サービスは14.2%上昇(前月15.2%)と減速はしているものの、引き続き2桁の高い伸びを記録している(添付資料表参照)。

CPIの前年同月比上昇率の鈍化は5カ月連続で、前月に引き続きエネルギーと財価格が鈍化する一方で、サービス価格、特にウエートの大きい住居費の伸びが引き続き加速し、前者をほぼ相殺する構造は変わっていない。一方で、連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めにより、住宅価格は鈍化し、都市部での賃料は低下し始めている。こうした現状から、FRBのジェローム・パウエル議長は「住宅サービス価格は来年のどこかで低下し始めると予想される」(フォーチュン12月13日)と発言しているように、2023年の夏ごろには低下し始めると期待されている。

他方、先行きが見通せなくなっているのはサービス価格の動向だ。11月の雇用統計において、平均時給の伸びは前年同月比5.1%増と前月より加速し(2022年12月5日記事参照)、賃金上昇に歯止めがかからない。賃金が上昇すれば、コスト転嫁というかたちでサービス価格を中心に物価上昇圧力が増大する。エネルギー、財、住居費という、これまで物価を押し上げてきた要因の先行きはある程度見えてきた中で、サービス価格の動向の先行き不透明感が強くなってきており、今後はこうしたサービス価格の動向にも注目が集まりそうだ。

(宮野慶太)

(米国)

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