カンボジア、気候変動対策への取り組みをアピール

(カンボジア)

プノンペン発

2022年12月01日

カンボジアのサイ・ソムアル環境相は11月15日、エジプトで開催された第27回国連気候変動枠組み条約国会議(COP27)で、2020年にGDP比2.2%だった気候変動対策費を2021年には2.3%に引き上げたことを発表した。また、同会議において、カンボジア国内の3カ所で生み出される最大1,500万トン相当の排出権を民間企業などに売却する契約を締結し、カンボジアが気候変動対策を積極的に実施している旨をアピールした。

さらに、11月8~13日にプノンペンで開催された第40および第41回ASEAN首脳会談(ASEANサミット)で発表された「気候変動に関するASEAN共同声明」において、 議長国のカンボジアが音頭を取りASEANをグリーン、低炭素、持続可能な将来へと導くことを目指した、「ASEANグリーンディール」創設を発表。それに対し、IMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は、テーマ選定およびASEANサミット参加国の意見をとりまとめたカンボジアのイニシアティブを賞賛した。

カンボジア政府は、2013年に初の気候変動対策となる「カンボジア気候変動戦略計画(2014-2023)」を発表した。また、温室効果ガス(GHG)排出量を測定・報告・検証(MRV)するシステムを整備し、クリーン開発メカニズム(CDM)、2国間クレジット制度(JCM)などのスキームを取り入れ、GHG削減に取り組んでいる。2021年12月には「カーボンニュートラルに向けた長期戦略」を後発開発途上国で初めて国連に提出し、農業、森林を含む持続可能な土地利用、電力、輸送、工業プロセスなどの低炭素化、廃棄物管理の促進などを行うとした。同年に施行された新投資法では、グリーンエネルギー、気候変動への適応と緩和に貢献する技術を用いた事業分野に対して、税制優遇措置などを講じる旨を明記し、当該事業分野の企業の誘致を図っている(2021年10月21日記事参照)。

なお、カンボジア鉱工業・エネルギー省の2021年次報告書によると、カンボジア国内で生産された電力の51.2%〔4,736.62ギガワット時(GWh)〕は再生可能エネルギーで、うち水力が86.3%、太陽光およびバイオマス(バイオガス含む)が13.7%となっている。特に太陽光については2021年時点で発電容量が376.8メガワット(MW)だが、国連開発計画(UNDP)によると、2030年までに発電容量は1,815MWに増えると見込んでいる。カンボジア政府は、再生可能エネルギーによる電力供給の増加に伴い、石炭火力発電事業の新規許認可を停止する旨を発表している。

(トー・タイ)

(カンボジア)

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