2023年の「新年の贈り物」としての経済刺激策を閣議承認
(タイ)
バンコク発
2022年12月26日
タイ政府は12月20日の閣議で、2023年の政府からの「新年の贈り物」として提示したさまざまな経済的、社会的施策を承認した。各省庁が提出した施策のうち幾つかを例示する。
財務省については、最も期待されていた税還付制度の「2023年ショップディーミークーン」を承認した。納税者は1人当たり4万バーツ(約15万2,000円、1バーツ=約3.8円)を上限に、商品やサービスに対する支出を所得控除の対象に含めることができる。2023年1月1日から2月15日までの購入が条件で、アルコール飲料や自動車、ホテル宿泊代、公共料金など一部の商品・サービスの購入は制度の対象外となる。この制度によって消費が刺激されることで、GDPは約0.16%上昇すると見込まれている。
また、同省は2023年の土地・建物税の15%減免や、300万バーツまでの住宅を対象とした所有権移転の登記手数料(2%から1%へ)、抵当権登記手数料(1%から0.01%へ)の引き下げも行う。さらに、特別金融機関(SFI)や同省所管の他の機関は、債務者へのキャッシュバックや利息の減免、低利融資、中小企業への信用保証料の免除、年末年始のマイクロインシュアランス(注1)などの金融支援措置を提供する。
エネルギー省は、国民の負担を軽減するため、2022年12月24日から2023年1月3日まで、全ての燃油価格を固定し、かつ国家福祉カード所有者に対する液化石油ガス(LPG)割り引き措置を2023年1月1日から3月31日まで3カ月間延長する。同カード所有者は3カ月で1人当たり合計100バーツの補助金が支給され、屋台などを経営する同カード所有者は3カ月間、調理用ガス購入のために毎月最大100バーツが支給される予定。
また、企業や従業員を支援する施策も実施する。デジタル経済社会省は、中小企業が特にデジタル技術を強化するための研修開催や従業員の研修派遣に費やした費用について、250%の所得控除を申請できるようにする。さらに、高等教育・科学・研究・イノベーション省(MHESI)
は科学分野のサービスを支援し、中小企業を含む民間セクター、公共セクター、一般市民のコスト負担を軽減するため、2023年1月1日から3月31日まで、製品の規格・基準への適合などの試験・校正料金(注2)を30%引き下げる。労働省は国家技能標準試験料を大幅に割り引き、通常レベルに応じて100~200バーツかかる技能標準試験の受験料を2023年1月1日から3月31日まで、わずか1~3バーツとする。
(注1)低所得層を対象に低価格で提供する保険。
(注2)高等教育・科学・研究・イノベーション省科学分野サービス局(Department of Science Service:DSS)など、同省所管のさまざまな機関が提供している試験・校正サービスの料金の割り引きとなる。
(ナオルンロート・ジラッパパー、藤田豊)
(タイ)
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