BMW、瀋陽生産拠点でバーチャル工場立ち上げなどによりデジタル化推進
(中国)
大連発
2022年12月13日
中国の遼寧省政府サイト(12月3日)によると、BMWグループと華晨汽車集団(遼寧省瀋陽市)の合弁企業である華晨宝馬汽車(華晨BMW)は、バーチャル工場立ち上げのため、工場敷地内の3Dデジタルスキャン作業を開始済みで、BMWグループの生産拠点のデジタル化を推進しているという。
バーチャル工場とは、仮想現実(VR)を生かして、スマートフォンやパソコンで映像を見るだけで実際に工場の中にいるような感覚が得られる、仮想空間にある工場のことだ。最近はオンライン工場見学や取引先との商談、新人研修、遠隔操作の補助などで利用されており、新型コロナウイルスの影響もあってバーチャル工場を導入する企業が増えている。
BMWグループは近年、「BMW iFACTORY(注)」戦略を通じて、自動車製造と最先端技術の融合に努めている。今回、華晨BMWのバーチャル工場はまさに「BMW iFACTORY」の中核をなす。完成後には社内システムを通じて、オンラインバーチャルツアーの実施や、検索機能を利用した生産の重要ポイントの迅速な確認、BMWの他工場との生産シーンや工程の比較など、瀋陽市の生産拠点とBMWの全世界の各工場間で効率的な情報共有かつ緊密な連携が実現できる。また、バーチャル工場では各生産工程を切り取り、外部サプライヤーと共有することが可能で、社内外のインタフェース連携の向上や生産計画時の時間や労力の軽減なども見込まれる。
華晨BMWは瀋陽市内に3つの工場を持ち、鉄西工場のデータ化作業が2022年末までに完成する予定で、残る大東工場と里達工場を含めた全工場の2023年までのデジタル化の完成を目指している。
このほか、BMWグループは人工知能(AI)プラットフォームの構築にあたり、AIアプリケーションの応用にも工場内で積極的に取り組んでいる。
(注)「BMW iFACTORY」とは、BMWグループが未来の自動車生産向けに発表した新コンセプトで、「『リーン生産方式』(生産管理手法の1つ)、グリーン、デジタル化」というBMWの生産戦略ビジョンを代表するもの。これら3つの分野で自動車生産の新しいベンチマークを設定し、自動車産業の高品質開発のモデルとなることを目指す。
(李莉)
(中国)
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