米GM、販売店と協力し北米内の充電施設拡充へ

(米国、カナダ)

ニューヨーク発

2022年12月09日

米自動車大手ゼネラルモーターズ(GM)は12月7日、充電施設の普及が遅れている地方や都市に、公共利用が可能な充電施設を設置する「ディーラー・コミュニティ充電プログラム」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを立ち上げた。同プログラムは、2021年10月に同社が発表した、充電インフラの拡張に向けた7億5,000万ドルの投資の一環。米国およびカナダの販売店(注1)と協力し、地域の職場や集合住宅、スポーツや娯楽施設、大学などにレベル2(注2)の充電器を最大4万基設置する。GMは、2035年までに新車を全て排気ガスゼロの無排出車とする目標を掲げており(2021年1月29日記事参照)、今回のレベル2以外にも、高速道路や都市部における急速充電器の設置を進めている(注3)。

同プログラムは、GMが販売店にレベル2の充電器(出力19.2キロワット)を最大で10基提供し、販売店が地元の需要などに基づき設置場所を選ぶ仕組みとなっている。自身の販売店に設置することも認められており、充電器はGM以外の車両でも利用できる。カナダのケベック州に本社を置くフローが充電器の生産を担い、既に約1,000店舗(北米全体の約4分の1)が同プログラムへの参加を表明している。米国のウィスコンシン州とミシガン州では、設置が完了している。GMのホス・ハッサニ・バイスプレジデント(EVエコシステム担当)は「米国の人口の約9割がGMの販売店から10マイル(約16キロ)圏内に住んでいる。当社の販売店は、地域社会に深く関わり信頼されており、中小企業、娯楽施設、学校、そのほか人気のある場所を含め、EV充電へのアクセスを拡大する場所を決定するのに適した立場にある」と述べ、地元に根差した販売店と協力する意義を強調した。

フォードでは販売店による訴訟問題も

GM以外でも、販売店との協業によるインフラ整備が進む。フォードは販売店に対し、EV車種を取り扱う条件として、充電器の設置を含む50万~120万ドルの投資を義務付けるプログラムへの参加を募り、販売店の約3分の2に当たる1,920店舗が同意した(オートモーティブニュース12月5日)。一方、ニューヨーク州、イリノイ州、アーカンソー州の販売店からは、同社の措置がフランチャイズ法に違反するとして訴訟が提起されるなど、メーカーとのあつれきを生む要因になっている。EVシフトに向けた販売店の今後の対応が注目される。

(注1)米国では、メーカー直営ではなくフランチャイズ方式で経営されている。

(注2)エネルギー省によると、レベル2の出力は7.2キロワットが一般的だが、最大19.2キロワットまで可能。

(注3)充電サービス大手のEVゴー(EVgo)と協働し、2025年までに全米で3,250基の急速充電器を設置しようとしている。

(大原典子)

(米国、カナダ)

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