米ジョージア州連邦上院決選投票、民主党現職の当選確実、同党が51議席を獲得へ

(米国)

アトランタ発

2022年12月07日

米国ジョージア州で12月6日、連邦上院議員選挙の決選投票が行われた。主要メディアによると、民主党現職のラファエル・ワーノック氏がドナルド・トランプ前大統領の支持を受けた共和党のハーシェル・ウォーカー氏を破り、当選を確実とした(CNN12月6日、米国東部時間午後11時時点、開票率99%)。同州では、11月8日の中間選挙で過半数を得票した候補がおらず、決選投票に進んでいた(2022年11月10日記事参照)。ワーノック氏は11月(約3万8,000票)よりも大きな差(約5万9,000票)をつけて勝利しそうだ。

これにより、民主党が上院で51議席を獲得し、同党にとっては、共和党と50議席を分け合った2020年選挙よりも良い結果を得ることになる。なお、民主党は仮に決選投票で敗北したとしても、法案採決で賛否同数の場合、カマラ・ハリス副大統領が上院議長として最終的な議決権を有することから、多数派を維持することが確実だった。しかし、50対50の同数の場合、委員会の人数が両党で同数になるよう配慮されるため、大統領による人事の指名承認などで、民主党は共和党の協力が必要になる。従って、民主党が今回51議席の獲得を確実にしたことは、バイデン政権にとって議事運営上アドバンテージになる。

ケンプ知事とワーノック氏に投票した共和党支持者が結果を左右

今回の決選投票で浮動票層として注目されていたのが、11月にブライアン・ケンプ同州知事(共和党)に投票したが、ウォーカー氏に投票しなかった共和党支持者の存在だ。ケンプ知事は、新型コロナウイルス感染対策や2020年大統領選挙の結果を巡ってトランプ氏と対立したものの(2022年5月26日記事参照)、11月に再選を果たした。ケンプ知事に投票する一方、トランプ氏派のウォーカー氏に投票しなかった共和党支持の有権者が約20万人いると報じられていた(「アトランタ・ジャーナル・コンスティチューション」紙電子版11月20日)。

ワーノック氏はテレビ広告で、ケンプ知事と自身を支持する共和党支持者を取り上げるなど、同党支持者の中で浮動票層の取り込みに奔走した。他方、ウォーカー氏陣営も決選投票に進むことが決まった後、ケンプ知事が初めて同氏の応援演説に駆け付けるなどの対策を図った。ウォーカー氏自身も、これまで積極的な連携を回避してきたケンプ知事を信頼できるパートナーと評して一体感を示したが、11月時点の差を覆すには至らなかったもようだ。

(石田励示)

(米国)

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