第3四半期の経済成長率は4.01%、民間消費が回復
(台湾)
中国北アジア課
2022年12月01日
台湾の行政院主計総処(以下、主計総処)は11月29日、2022年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率(速報値)を前年同期比4.01%と発表した〔添付資料「図1 台湾の実質GDP成長率の推移(四半期別)」、「図2 台湾実質GDP成長率の推移(年別)」参照〕。
需要項目別の寄与度をみると、内需は3.40ポイントと前期から1.30ポイント低下した(添付資料表参照)。固定資本形成が1.39ポイントと前期(2.92ポイント)から大きく低下したことなどが響いた。一方で、民間消費は2.99ポイントと前期(1.38ポイント)から回復した。主計総処は要因として、当局による旅行推進策や新型コロナウイルス感染症防疫措置の緩和によって消費が回復したことや、厳格な防疫措置による影響を受けた前年同期の基数が低かったことを挙げた。
外需の寄与度は0.61ポイントと前期(マイナス1.75ポイント)からプラスに転じたものの、内需の寄与度を下回った。主計総処は、世界的なインフレ圧力が依然として高く、金融引き締めが継続されていることに加え、中国の動態(ダイナミック)ゼロコロナ政策の影響を受けた世界的な景気低迷、市場需要の弱まり、在庫調整の加速などが輸出を押し下げたと指摘している。
2022年通年の実質GDP成長率は3.06%と、前年(6.53%)から鈍化を予測。寄与度は内需が3.14ポイント、外需がマイナス0.08ポイントとした。主計総処は、外需について、2022年前半は企業のデジタル化などによる旺盛な需要を受けて輸出が増加したものの、年後半には上述の要因から世界的に末端需要が弱まり輸出が抑制されるとの見方を示した。
主計総処はまた、2023年通年の実質GDP成長率の予測値を2.75%と発表。2年連続の成長鈍化を予測した。
なお、同日の発表では、2020年、2021年および2022年第1四半期、第2四半期の実質GDP成長率について改定値が併せて発表された。このうち、2020年の実質GDP伸び率は3.39%、名目GDPが19兆9,148億台湾元(約89兆6,166億円、1台湾元=約4.5円)。2021年の実質GDP伸び率は6.53%、名目GDPが21兆7,390億台湾元となった。
(柏瀬あすか)
(台湾)
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