ブラジルのルーラ次期大統領、メルコスール・EUのFTA実現は選挙公約と強調

(ブラジル、ポルトガル、EU、メルコスール)

サンパウロ発

2022年12月09日

ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ次期大統領(2022年11月1日記事参照)は11月18日、ポルトガルを訪問し、マルセロ・レベロ・デ・ソウザ大統領、アントニオ・コスタ首相と会談を行った。コスタ首相との会談の際、ルーラ次期大統領は外交政策について言及し、「メルコスール・EU間の自由貿易協定(FTA)を実現する。これは選挙キャンペーン時からの公約だ」として、FTAの署名と発効に向けて努力する姿勢を示した(注)。同FTAは2019年6月に政治合意したものの、現時点でまだ署名に至っていない。

なお、ルーラ次期大統領は、10月30日に実施された大統領選挙の決選投票直前の29日、同日付のフランスの主要紙「ル・モンド」で「メルコスール・EU間の協定の項目を改善することにより、貿易や信頼関係、共通価値の維持を深めることができる」と指摘している。10月31日付の現地紙「バロール」は、ルーラ次期大統領の「ル・モンド」でのコメントは両地域間の協定内容を見直す意向があると解釈することもできると報じている。一方、欧州委員会のミリアン・フェラー氏は「バロール」(10月31日付)で「メルコスールと合意に至った協定項目は両サイドにとって非常に有益」と、既存の内容で十分との考え方を示した。

ルーラ次期大統領はまた、ポルトガル訪問中に環境問題についても言及している。11月8日付のポルトガル政府の公式サイトによると、ルーラ氏は「われわれは環境問題に取り組む。アマゾンを世界遺産として守る。アマゾンの主権はブラジルにあるが、世界と協力しなければならない」と述べた上で、「われわれは違法採掘や違法伐採、土地の侵入を禁じ、先住民の土地や環境保護地域を守る」と強調した。

また、国連安保理を改革する必要性も訴え、「代表性のより高いグローバルガバナンスが必要。そのために安保理は変わらなければならない。(常任理事国の)メンバーを増やし、拒否権をなくすことも必要」と言及した。

(注)ルーラ次期大統領は自身の公式サイト(9月21日付)でこの公約を発表している。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル、ポルトガル、EU、メルコスール)

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