フィンランド、対中輸出に関する調査結果を発表

(フィンランド、中国)

ロンドン発

2022年12月06日

フィンランド商工会議所は11月30日、フィンランドの輸出企業を対象に行った調査結果(注)を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。調査結果によると、中国への依存度を下げるかという質問に対して回答企業の26.8%が低下させると回答し、低下させないと回答した企業(20.3%)を上回った。生産とバリューチェーンの多様化に向けた取り組みを始めていることがわかった。中国への依存度低下に取り組むと回答した企業のうち、約7割は事業や生産拠点を欧州に移した、または移そうとしているほか、インド、ベトナム、インドネシアなどを候補として挙げる企業もあった。

一方、フィンランド商工会議所のレニタ・トイバッカ氏は、中国リスクは管理すべきだが、ハイテク、デジタル化、環境関連の産業ではフィンランドの技術に対する中国でのニーズもあることから、完全に門戸を閉ざすべきではないと述べた。

政府も11月22日、対中輸出に関する報告書を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。報告書によると、フィンランドから中国への輸出の中心が機械設備から、原材料や中間製品、特にパルプ製品へ変化しており、付加価値の高い製品の中国市場でのシェアは低下した(添付資料「図1 フィンランドの国別輸出先(2021年)、「図2 フィンランドの対中輸出の内訳」参照)。中国はフィンランドにとって重要な輸出市場であり、過去10年間で中国向け事業は拡大し、多くの企業が同国向けビジネスを通じフィンランドでの生産、投資、研究開発、雇用を増加させているとした。一方で、多くのフィンランド企業が中国のビジネス環境は悪化すると考えている。主な理由としては、中国当局による企業運営への干渉の増加、地政学リスクの高まり、中国市場の成長鈍化、渡航制限や新型コロナウイルス感染規制、保護主義、知的財産権の問題などが挙げられた。

政府は、主要な貿易相手国として中国が果たす役割と、国際的なビジネス環境の変化を踏まえると、中国への経済的依存に関してより詳細な研究が将来的に必要とした。

(注)フィンランド商工会議所は2022年11月14日から16日にかけてフィンランドの輸出企業責任者を対象として調査を実施し、123社が回答した。

(島村英莉、半井麻美)

(フィンランド、中国)

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