クリチバ市で日本産和牛と精米の料理試食会、参加者は高級レストランでの展開を提案
(ブラジル、日本)
サンパウロ発
2022年12月09日
ジェトロは11月29日、ブラジル南部パラナ州都クリチバ市(注)で、在クリチバ日本総領事館と連携し、現地の有力バイヤー向けに、日本産和牛と精米を使った料理の試食会を行い、両産品の受容性を探った。
クリチバ市のGDPはブラジル国内で5番目に高い。推定15万人の日系人がおり、日本食品を取り扱う店舗が現地に根付いている。一方、現地での日本産和牛の取り扱いはなく、日本産の精米を食する機会も少ないため、レストランや小売店関係者だけでなく、消費者の両商材に対する認知度は低かった。そこで、ジェトロは両商材を使った料理試食会を開催して受容性を探ることで、より多くの事業者や消費者の関心を喚起し、市場拡大を図り、日本からの輸出量増加につなげていくこと狙っている。
試食会は、在クリチバの日本総領事公邸で、パラナ州商業協会会長や現地の大手小売りグループFestval社の販売部長、ブルボン・ホテル&リゾートの販売と調達の責任者、日本食レストランの「会津」や「H2O」の代表と料理人などを招いて行った。ジェトロ職員から、日本産和牛と外国産和牛の違いを説明し、日本産が高価な背景などについて情報提供を行った。
料理の説明では、公邸料理人が現地食材と和牛や精米を融合させつつ、和牛の食べ方を提案、紹介した。参加者は和牛のあぶりずしや、和牛のとろろユッケに肉みそのレタス包みに高評価を付けた。和牛とワカメの酢の物、天ぷら、焼きみそにぎり、牛すじスープなど、バラエティに富んだレシピを絶賛する参加者のコメントも多かった。
日本産和牛を試食した参加者からは、「ブラジル産の和牛を活用した経験から、和牛の評価は市場でも高評価を得ている。ブラジルでは、BMS数値で5~6程度の赤身が多くてサシが少ない肉でも販売できる可能性が高い」とのコメントがあった。一方で「商品ラインアップが多い小売店での販売プロモーションは難しい。レストランでの展開が重要ではないか」という声もあった。
日本産の精米を試食した参加者は「精米本来の風味を感じることができるため、純粋に味付けなどを行わない食べ方ができる」「販売可能。食感と、つやが現地で流通する精米とは異なる」とコメントした。一方で「現地市場には、味の違いを認識する味覚を持つ消費者が少ないため、高級レストランで優れた味覚を持つ消費者向けに展開することが重要」との意見もあった。
いずれの商材に対しても、「セミナーを通した体験や知識を啓発する機会を継続的に実施する必要がある」「生産者側の一次情報に加え、提供する側の知識の向上とともに、関係者が一体となった消費者へのマーケティングが必要」とのコメントがあった。
あいさつする濱田圭司・駐クリチバ日本総領事(中央)(ジェトロ撮影)
あいさつする原宏ジェトロ・サンパウロ事務所長(左)(ジェトロ撮影)
ジェトロのエリーナ・川口職員による日本産和牛の魅力説明(ジェトロ撮影)
(注)環境・持続可能な都市づくり ブラジル・パラナ州とクリチバ市の挑戦(2011年3月)調査レポート参照。
(斎藤裕之)
(ブラジル、日本)
ビジネス短信 75460884d43436d5