環境法制により排水処理過程の技術ニーズ高まる、ジェトロがウェビナー

(インドネシア、日本)

海外市場開拓課

2022年12月19日

ジェトロは128日、インドネシアへの環境関連製品の輸出を⽬指す⽇本企業向けに、「グリーンビジネス・ウェビナー(インドネシア)」を開催した。製造業の工場が集積する西ジャワ州では、環境汚染が頻発し、環境規制の強化によって排水処理に関するビジネスニーズが高まっている。同州当局関係者などが最新動向を説明した。

日系企業の立地が多い西ジャワ州では排水処理対策が急務

西ジャワ州環境局環境汚染防止管理責任者のヘラ・ハンダヤニ氏は「西ジャワ州には繊維、食品・飲料、衣料品、ゴム・プラスチックの4大産業があるが、有害有毒廃棄物を発生させる石油精製や石炭関連、石油化学産業もある上、燃料として安価な石炭が使われているため、環境汚染が頻発している」と述べた。その上で、同州では全般的に水質汚染が目立つため、2021年の総合環境指数(Environmental Quality Index)は62.68と、国内34州内でワースト3となったことを強調。一方、環境関連の法整備の状況として「2021年政令第22号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、複数の政令にまたがっていた環境対策を事業認可の中に一本化し、環境リスクが高い事業の認可は中央政府が担うことになった」と解説。さらに「この政令に基づいて発表した環境大臣令で工場排水基準が厳格化され、排水処理に係る製品・技術などのビジネスへの需要が高まっている」と述べ、同分野での日本との技術交流に期待を示した。

写真 へラ・ハンダヤニ氏の講演の様子(ジェトロ撮影)

へラ・ハンダヤニ氏の講演の様子(ジェトロ撮影)

環境対策コスト低減に向けて新技術導入ニーズ高まる

インドネシア環境汚染管理者協会(APPLI)のアーウィン・スティアワン事務局長は2021年政令第22号よる産業界への影響に関し、「排水処理や大気汚染、有害有毒廃棄物の管理に関しては、幾つかの課題がある」と述べ、具体的には「有害有毒廃棄物か否かの区分では、解釈を巡る混乱が生じている。大気汚染関連では大気の質的モニタリング義務が厳しく、24時間モニタリングが課せられる場合もある」と例示した。また、多くの企業が事業所や工場の排水処理で初期投資コストの負担や、新たな処理施設の用地不足、技術者など人材不足などの課題に直面しているという。「排水処理過程で発生するスラッジ(汚泥)は、その乾燥処理などで効率的かつコストを抑えて実施可能な技術が求められる。スラッジ乾燥処理で優れた技術を持つ日本企業にとっては、大きなビジネスチャンスとなろう」と日本企業の参入に期待を示した。

写真 アーウィン・スティアワン氏の講演の様子(ジェトロ撮影)

アーウィン・スティアワン氏の講演の様子(ジェトロ撮影)

(桑原繁)

(インドネシア、日本)

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