好調な貿易に陰り、11月は輸出入ともに前年同月比でマイナス

(ベトナム)

ハノイ発

2022年12月23日

ベトナム税関総局によると、2022111月の輸出は3,4219,370万ドル(前年同期比13.4%増)、輸入は3,3151,383万ドル(10.1%増)で、貿易収支は1067,987万ドルの黒字となった。輸出額は111月の累計で既に2021年通年を上回り、輸入額も2021年通年と同じ水準に到達したため、2022年も過去最高の貿易額を更新する見込みだ。しかし、月別にみると、9月以降の貿易額は落ち込んでおり、11月は2022年で初めて輸出入ともに前年同月比の伸びがマイナスに転じた(添付資料図参照)。世界的なインフレに伴う経済減速や、通貨ドン安ドル高の為替変動などが影響しているとみられる。

11月の輸出は、前年同月比8.9%減の2901,968万ドルだった。特に減少が目立った品目は鉄鋼で、前年同月比58.9%のマイナスだった。輸出相手国第1位の米国に着目すると、下期にかけて輸出額が伸び悩んでいる。2022111月の累計では、前年同期比17.7%増の1,0121,653万ドルと好調に見えるが、11月単月を前年同月と比較すると、15.5%減の784,139万ドルで、20219月以来のマイナスとなった。米国への輸出上位10品目中、コンピュータ電子製品・同部品を除く9品目がマイナスとなっており、特に消費財の減少が目立った(添付資料表1参照)。米国では高インフレの長期化に加え、年末商戦を前に小売り各社が過剰在庫を消化する動きが見られる(2022年11月4日記事参照)。

11月の輸入は、前年同月比7.7%減の2827,724万ドルだった。特に減少が目立った品目は、輸入品目第1位のコンピュータ電子製品・同部品で、前年同月比27.7%のマイナスだった。輸入相手国第1位の中国に着目すると、前年同月比で20205月以来のマイナスとなった。11月単月を前年同月と比較すると、上位5品目がマイナスとなった(添付資料表2参照)。特に電話機・同部品の減少が著しく、前年同月比32.6%のマイナスだった。

(蛇見拓斗)

(ベトナム)

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