フィッチ、スリランカ通貨建て発行体格付けを引き下げ
(スリランカ)
コロンボ発
2022年12月19日
格付け会社のフィッチ・レーティングスは12月1日、スリランカの長期現地通貨建て発行体デフォルト格付け(IDR)を「CCC(持続的な信用リスク)」から「CC(高水準の信用リスク)」に引き下げる一方で、外国通貨建てIDRは「RD(限定的な債務不履行)」で据え置くと発表した(発表文書)。6日には国営商業銀行のBank of Ceylonの格付けを「CCC」から「CCC-」に引き下げている。
スリランカ通貨建て発行体に関する格付けの主な理由は、次のとおり。
- スリランカ国内で収入に対する利払い比率や高い金利を反映し、国内債務が拡大するとともに、国内での資金調達が困難になっている
- 9月にIMFと実務者レベルで48カ月29億ドルの支援に合意したが、公的債権者からの融資保証や、民間債権者との合意を条件とする正式なIMF支援の承認は得られておらず、対外債務の再編時期が依然として不透明
- ソブリン・デフォルトによって外貨建て資金調達へのアクセスが制限された銀行部門は、現地通貨建ての政府証券を大量に保有しているため、現地通貨建ての債務再編が行われれば、資金調達と流動性のストレスが高まる
- 政府は歳入拡大を見込むものの、2023年にはGDPの縮小が見込まれるため、政府の財政再建路線は楽観視できない
- 経済状況が改善されなかったり、改革が国民の反対を招いたりした場合の政治的リスクが存在
その上で、債務再編が完了し、民間債権者との関係が正常化された場合や、政府が現地通貨建ての債務返済を持続可能な軌道に乗せ、デフォルトや債務再編を回避した場合には、好転する可能性があるとしている。
政府は現時点で国内の債務再編を進める予定はないという立場を示している。シェハン・セマシンゲ財務担当副大臣は米国経済専門誌「ブルームバーグ」との電話インタビューで、「スリランカ政府は国内債務再編を避けるために努力している」と発言している。
(大井裕貴)
(スリランカ)
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