アフリカ工業化指数の発表、過去11年で37カ国の工業化が進む

(アフリカ)

中東アフリカ課

2022年12月05日

アフリカ開発銀行(AfDB)、アフリカ連合(AU)、国連工業開発機関(UNIDO)は1124日、アフリカ工業化指数(AII)に関する報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを共同で発表し、2010年から2021年の間、調査対象となったアフリカ52カ国のうち37カ国の工業化が進んでいることを明らかにした。ただし、新型コロナウイルス感染拡大とロシアによるウクライナ侵攻の影響を受け、2020年から2021年の間にAII全体の平均値は1.7%減少している。また、世界の製造業生産高に占めるアフリカの割合は減少傾向にあり、現在は2%以下にまで落ち込んでいる。

AIIは、製造業の業績、資本、労働力、ビジネス環境など19の指標によって、次の3つの軸を評価している。

1)パフォーマンス:製造業生産高と輸出高はどの程度か。

2)直接要因:資本と労働力をどの程度、工業化に費やしているか。

3)間接要因:マクロ経済の安定性、制度、インフラなど、工業化に資する環境をどの程度整備しているか。

総合順位では、南アフリカ共和国が調査期間を通じて1位を維持した。2021年時点でモロッコが2位、次いで、エジプト、チュニジア、モーリシャス、エスワティニ、セネガル、ナイジェリア、ケニア、ナミビアとなった(添付資料図1参照)。上位の国々は必ずしも経済規模が大きいわけではなく、製造業の1人当たりの付加価値が高く、輸出用製品の割合が多い国だ。北アフリカは依然としてアフリカで最も工業化が進んでいる地域で、南部アフリカ、中央アフリカ、西アフリカ、東アフリカがそれに続く。

また、調査期間に最も大きな成長が見られたのは、製造業の競争力が向上したジブチで、17位も順位を上げた。次いで、資本投資強化と適切な政策を実施したベナン、外国直接投資(FDI)の増えたモザンビークが続き、ギニア、ガーナ、エチオピア、セネガル、ルワンダ、タンザニア、ウガンダとなっている(添付資料図2参照)。

分析軸別にみると、「パフォーマンス」では、製造業の1人当たり付加価値が高く、輸出用製品の割合が多い国などが評価され、特にエリトリアとモーリタニアが好調な輸出実績によって大幅に順位を上げた。

「直接要因」では、民間セクターの成長とFDIの増加を背景に順位を上げた国が多数ある。特にモザンビークはFDI総額の大幅な増加によって2010年から20位近く順位を上げ、2021年には上位6位に入ったが、その多くは石油・ガス産業への投資だった。

「間接要因」では、ブルキナファソ、コートジボワール、ケニア、モーリタニア、ニジェール、タンザニア、セーシェルなど、ビジネス環境を改善した多くの国が順位を上げた。特にブルキナファソ、コートジボワール、タンザニアは市場規模の拡大とインフラの質の向上が評価された。

(天神和泉)

(アフリカ)

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