EV用バッテリー価格が2010年以降で初めて上昇、ブルームバーグ調べ

(米国)

ニューヨーク発

2022年12月14日

米国調査会社ブルームバーグNEF12月6日)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2022年の世界のリチウムイオンバッテリーパックの売上高加重平均価格(注)は前年比7.1%増の1キロワット時(kWh151ドルとなった(添付資料図参照)。平均価格は、同社が調査を始めた2010年以降、2021年まで連続して下落していたが、電気自動車(EV)の普及などによって需要が増加し、原材料の鉱物の価格が上昇したことなどから、2022年に初めて前年比増に転じた。

また、バッテリーパックに組み込まれるセルの価格は1kWh120ドルで、バッテリーパックの約8割を占めることも分かった。平均価格を国・地域別でみると、中国では1kWh127ドルと最も低く、米国ではそれよりも24%、欧州では33%高かった。

同社は今後の見通しについて、2023年は2022年と同水準の1kWh152ドルで推移すると予測している。2024年には、リチウムの抽出・精製に関する新たな事業が開始することで価格は低下し始め、2026年までには1kWh100ドルを下回るようになるとみている。負極材にシリコンやリチウム金属を導入するなどの製品開発に加え、固体電解質や新たな正極材の導入により、さらなる価格の低下が期待できるという。ブルームバーグNEFのクウェイジ・アンポフォ氏(金属・鉱業部門担当)は「リチウム価格は、持続的なサプライチェーン上の制約と新しい生産態勢の立ち上げの遅れにより、高止まりしている。リチウムの追加供給によって2024年には価格への圧力が緩和されるかもしれないが、地政学や通商上の緊張が影響し、短期的にはほかの主要なバッテリー用鉱物の価格が不安定になる。これらの緊張を解消することで、2023年以降の価格は安定させることができるだろう」と述べた。

(注)当日の取引価格を価格ごとの売買高で加重平均した価格で、1日の取引価格の実態に近い価格になると推定される。今回のブルームバーグNEFの発表は、乗用自動車、商用車、バス、定置型貯蔵用のリチウムイオンバッテリーの価格が対象。

(大原典子)

(米国)

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