米下院、同性婚を認める「婚姻尊重法案」を可決、共和党からも39人の賛成票

(米国)

ニューヨーク発

2022年12月09日

米国の連邦議会下院は12月8日、上院で可決済みの「婚姻尊重法案(Respect for Marriage Act)」を258対169の賛成多数で可決外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。全民主党議員に加えて、共和党議員39人も賛成票を投じた。「婚姻尊重法案」は、同性間や異人種間の結婚を認める法案で、社会課題に対応するための超党派の合意となった。

本法案は、一度は7月19日に下院で可決外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされたものの、上院で修正が加えられたため、再び下院での可決が必要となっていた。7月の採決では47人の共和党下院議員が賛成票を投じていたものの、今回39人に減少したのは、共和党内で批判を受けるケースがあったためとみられている(米国政治専門紙「ポリティコ」電子版12月8日)。7月に賛成票を投じ、今回反対に回った共和党議員は7人だ。逆に、7月に反対票を投じ、今回は賛成した共和党議員は、マイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州)とジェイム・バトラー議員(ワシントン州)の2人となっている(注)。

米国最高裁判所は2015年6月26日、同性婚を禁じる州法は違憲との判断を下していた外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。しかし、最高裁が2022年6月24日に、人工妊娠中絶権を認めた過去の判例を破棄して以降(2022年6月27日記事参照)、同性婚に対する憲法上の権利にも同じことが起こる可能性があるとの見方が出ていた。また、1996年に定められた、婚姻は異性間においてのみ認めるという「結婚防衛法(DOMA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の存在も障害となっていた。このDOMAを無効化するために、ニューヨーク州のジェリー・ナドラー下院議員が率いる超党派議員会は、2009年に提案した婚姻尊重法案の改定版を提出外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これが今回の「婚姻尊重法案」だ。上下両院で可決されたため、法案は近くジョー・バイデン大統領の署名を受けて有効となる見込みだ。バイデン大統領は同日、法案可決を称賛する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出している。

(注)そのほか、7月に賛成票を投じた共和党議員2人は今回棄権し、1人は賛否を示さない出席(present)票を投じた。

(吉田奈津絵)

(米国)

ビジネス短信 645302a4eb1f549d