通貨金融庁による民間予測の集計、2023年の経済成長率を引き下げ

(シンガポール)

シンガポール発

2022年12月16日

シンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)は12月14日、民間のエコノミストとアナリストが回答したフォーキャスターズ調査(Survey of Professional Forecasters)の結果を発表した(調査開始:11月23日、回答数:21人)。2023年のシンガポールの実質GDP成長率(経済成長率)予測の中央値は前年比1.8%増と、前回調査(9月発表、2022年9月5日記事参照)の2.8%増から低下した。

経済活動別では、「製造業」(前回:3.0%増→今回:0.3%増)と「卸売・小売業」(2.0%増→1.4%増)が前回調査から低下した。他方で、「建設業」(4.0%増→5.1%増)と「金融・保険業」(2.8%増→2.9%増)は上昇した。「宿泊・飲食サービス業」(5.6%増→5.6%増)は変化なかった。

シンガポール経済に対する上振れリスクについては、マクロ経済政策の緩和や経済再開による「中国」のより力強い成長を挙げた割合(87.5%)が、前回調査(61.5%)に引き続き最も高かった。上位3つにはそのほか、予想を上回る「国外経済の成長」と「金融政策引き締めペースの鈍化」(いずれも25.0%)が挙がった。

下振れリスクについては、「国外経済の成長減速」を挙げた割合(62.5%)が前回調査(71.4%)から低下したものの、最も高かった。今回の調査では、「地政学的緊張」の激化(前回:35.7%→今回:50.0%)、新型コロナウイルス感染症関連のロックダウンと社会不安による「中国」からの波及(28.6→43.8%)が続いた。

下振れリスクの上位3つから、予想よりも高い「インフレーション」が外れたが、2023年の消費者物価指数(CPI)上昇率の中央値は前年比5.2%と、前回調査(3.5%)から上昇した。MASが政策判断で重視する宿泊費と自家用道路交通費を除いたMASコアインフレ率(4.0%)も前回調査(3.1%)から上昇した。

(朝倉啓介)

(シンガポール)

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