2022年通年の経済成長率の予測値低下、通貨金融庁のフォーキャスターズ調査

(シンガポール)

シンガポール発

2022年09月05日

シンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)は91日、エコノミストとアナリストが回答したフォーキャスターズ調査(Survey of Professional Forecasters)の結果を発表した(調査開始:811日、回答数:21人)。2022年の実質GDP予測の中央値は前年比3.5%増と、前回調査(6月発表)の3.8%増から低下した。経済活動別では、「製造業」(前回:4.6%増→今回:5.5%増)と「宿泊・飲食サービス業」(7.1%増→13.8%増)が前回調査から上昇した一方で、「金融・保険業」(3.8%増→2.5%増)、「建設業」(5.9%増→4.6%増)、「卸売・小売業」(3.0%増→2.3%増)は低下した。

2022年の消費者物価指数(CPI)上昇率の中央値は5.7%と、前回調査(5.0%)から上昇した。MASが政策判断で重視する宿泊費と自家用道路交通費を除いたMASコアインフレ率(3.8%)も前回調査(3.4%)から上昇した。他方で、経済見通しの下振れリスクとして、「予想以上に高いインフレーション」を挙げた割合は50.0%と、前回調査(88.2%)から低下した。

下振れリスクでは、シンガポールの主要貿易相手国である「国外経済の減速」を挙げた割合が71.4%と最も多く、前回調査(35.3%)から増加した。「予想以上に高いインフレーション」(50.0%)、「地政学的緊張」(35.7%)が続き、これらのうち「国外経済の減速」を最大のリスクと回答した割合が57.1%に達した。

上振れリスクについては、マクロ経済政策緩和と経済再開に支えられた「中国」のより力強い成長を挙げた割合が61.5%と最も多かった。「国境再開」(46.2%)の進展による旅行・観光の加速や、「予想よりも低いインフレーション」(30.8%)が続いた。

(朝倉啓介)

(シンガポール)

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