ペルー議会、第1回投票で2024年4月に総選挙を前倒しする憲法改正案を承認

(ペルー)

リマ発

2022年12月23日

ペルー議会は12月20日、第1回投票で現行大統領と議会の任期短縮と総選挙を2024年4月に前倒しする憲法改正案を賛成93票、反対30票、棄権1票の賛成多数で承認した。同改正案は、憲法に基づき2回の投票が必要となる。2023年2月以降の次期議会会期で2回目の投票が行われ、賛成87票以上が得票できれば最終的に議会で承認される。

総選挙を前倒しする憲法改正案については、総選挙を2023年12月に前倒しする改正案が2022年12月16日に否決されていた(2022年12月22日記事参照)。その後、中道派のアリアンサ・パラ・エル・プログレッソ(進化のための同盟:APP)党議員から、議会規定第58条に基づき再考動議が提出されていた。議会はこれを20日付で賛成多数(注)で承認していた。これを受けて、議会の憲法規定委員会が各党派の意見を取りまとめた結果、ディナ・ボルアルテ大統領が当初提案していた「2024年4月への総選挙前倒し」「2024年7月の大統領および議会の任期終了」案に修正され、今回の議会審議と第1回投票に諮られた経緯がある。

今回の投票では、12月16日の投票で反対していた右派のアクシオン・ポプラール(人民行動:AP)党やアバンサ・パイス(国よ進め:AP)党のほか、中道左派のソモス・ペルー(われわれはペルー:SP)党などが賛成票を投じた。左派の一部も賛成に回った(添付資料表1参照)。多くの党派が賛成に回った背景には、国民による総選挙の前倒しを求める声が多い中で、南部を中心に発生している反大統領勢力と治安部隊との衝突で27人に上る死者が出たことで、今後の混乱を避ける上で総選挙の前倒し時期を早期に合意する必要があったことがあげられる。

(注)出席議員124人のうち、賛成94票、反対25票、棄権5票で可決。反対票は主にペルー・リブレ(ペルー自由:PL)党を始めとする左派系議員と右派のレノバシオン・ポプラール(人民一新:RP)党が投じた(添付資料表2参照)。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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