議会が2023年12月への総選挙前倒し法案を否決

(ペルー)

リマ発

2022年12月22日

ペルー議会は12月16日、現政権と議会の任期を短縮して、総選挙を2023年12月に前倒しする憲法改正法案を賛成49票、反対33票、棄権25票、無回答9票で否決した(注1)。

今回の憲法改正法案は、議会の憲法規定委員会のエルナンド・ゲーラ・ガルシア委員長〔右派フエルサ・ポプラール(人民勢力:FP)党所属〕が提出したもの。ディナ・ボルアルテ大統領が12月12日に提出した法案(注2)とは内容が異なる。ボルアルテ大統領による憲法改正法案は総選挙を2024年4月に前倒して現政権と議会の任期を2024年7月までとしているのに対して、今回の改正案は総選挙を2023年12月に実施して任期を2024年4月までと、さらに前倒しする内容だった。

ペルー議会による今回の投票では、FP党と中道派のアリアンサ・パラ・エル・プログレッソ(進化のための同盟:APP)党の出席議員の多数が賛成票を投じた。右派のレノバシオン・ポプラール(人民一新:RP)党やアバンサ・パイス(国よ進め:AP)党は反対票を投じ、右派の中でも投票が分かれた。政権与党の急進左派のペルー・リブレ(ペルー自由:PL)党をはじめとする多くの左派政党は反対と棄権に回った(添付資料表参照)。

投票前の審議では、左派と右派の双方で、派閥内の意見の食い違いが露呈した。議会憲法規定委員会ゲーラ・ガルシア委員長の案に対して、左派系議員の一部も「2023年7月への総選挙前倒し」と「憲法改正のための制憲議会制定」を求めた。一方、右派や中道派は「二院制議会の設立」や「議員の再立候補禁止法の廃止」「任期中の中間選挙実施」などの政治改革を求めていた。

今回、現政権と議会の任期を短縮して、総選挙を2023年12月に前倒しする憲法改正法案が否決されたことを受けて、中道派閥のAPP党に所属するエドゥアルド・サルウアナ議員は投票の再考動議を提出した。この再考動議が否決された場合は、ボルアルテ大統領は右派と中道派を取り組むために、総選挙を2024年4月に前倒して現政権と議会の任期を2024年7月までする憲法改正法案を修正するか、法案の行方が注目される。

(注1)可決に必要な賛成票数は87票。その他、賛成が66票以上であれば、国民投票に委ねられた。

(注2)同改正案は、もとは中道派のインテグリダッド・イ・デサロージョ(誠実と発展:ID)党のスセル・パレーデス・ピケ議員と無所属のディグナ・カージェ・ロバトン議員が2022年4月に別々に憲法規定委員会に提出した案を基に作成されていた。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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