韓国政府、EV・バッテリーメーカーなどと米インフレ削減法への対応を協議

(韓国、米国)

ソウル発

2022年12月01日

韓国産業通商資源部は11月29日、米国のインフレ削減法に関する関連業界との懇談会を開催し、これまでの政府による米国側との協議の状況や業界の対応などを確認し、今後の短期・中長期的な方針について確認した。

まず、産業通商資源部は、これまでのインフレ削減法に関する米国との協議に関し、(1)インフレ削減法改正は現実的に難しい面があるものの、米上院・下院から発議された改正案(注)を中心に議会へのアウトリーチを継続して行っていくこと、(2)11月4日に米財務省に対し政府意見書を提出(2022年11月8日記事参照)して以降、米韓実務協議やホワイトハウス関係者との面談などを通じ、最終組み立て要件の緩和やバッテリー鉱物・部品要件の具体化などを提案していることを説明した。さらに、12月初頭に呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長が訪米の際に米政府の主要関係者と接触し、韓国業界の意見を反映するため引き続き努力していくとした。

関連業界からは、(1)現代自動車から、ジョージア州の内燃自動車工場での電気自動車(EV)生産を検討し、鉱物および部品要件を満たすバッテリーの確保に努め、商業用エコカーの税額控除などの恩典を積極的に活用する、(2)LGエナジーソリューション、サムスンSDI、SKオンのバッテリー各社から、バッテリー生産およびバッテリー製造施設の投資に対する税額控除などを活用する、(3)ハンファQセルズから、ジョージア州所在の太陽光モジュール設備の増設を通じ恩典を享受する見通しである旨、それぞれ説明があった(添付資料表参照)。

懇談会を主宰した李昌洋(イ・チャンヤン)長官は、短期的課題として(1)商業用エコカーへの税額控除を最大限活用すること、(2)インフレ削減法のガイダンスに関し、韓国の産業界の利害を反映させるべく協議していくこと、中長期的課題として、(1)インフレ削減法改正に向けた米議会などへのアウトリーチを継続していくこと、(2)計画されたEVおよびバッテリー工場を適切なタイミングで稼働させること、(3)北米内での最終組み立て要件が緩和されない場合のインフレ削減法要件を確保すること、(4)その他クリーンエネルギー関連などの恩典を韓国企業が享受できるよう政府も支援していくことなどを公表した。

(注)EVの税額控除の要件を3年間猶予することなど。

(当間正明)

(韓国、米国)

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