チェコ、超過利潤税と超過売上課徴金を導入

(チェコ)

プラハ発

2022年12月02日

チェコのミロシュ・ゼマン大統領は11月28日、付加価値税・所得税法改正法、エネルギー法改正法に署名した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。どちらの法律も、エネルギー価格高騰に対する支援策(2022年10月7日記事2022年11月8日記事参照)などに関連する支出の財源として、一部の企業に対して一時的な負担金の賦課を定めたもので、前者は超過利潤税を2023年1月1日から、後者は超過売上課徴金を2022年12月1日付で導入することを規定している。

上記の税、課徴金の内容は以下のとおり。

【超過利潤税】

財務省ウェブページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(11月24日付更新)によると以下のとおり。

〇適用時期:2023年1月1日~2025年12月31日

〇適用対象企業:

1.エネルギー部門(1):電気、ガスの生産、送配電、燃料の卸売事業者で、2021年の売上高が20億コルナ(約118億円、1コルナ=約5.9円)以上の企業

2.エネルギー部門(2):精油、化石燃料の採掘、コークス精製事業者で売上高が5,000万コルナを超えて、かつ2021年における当該事業の売上高が全体の25%以上を占める企業

3.銀行業で、2021年の売上高が60億コルナを超える企業

〇課税対象額:対象年の課税対象額(利益)から2018~2021年の平均利益額に20%割り増しした額を差し引いた金額

〇税率:60%

【超過売上課徴金】

産業貿易省ウェブページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(11月9日付更新)などによると以下のとおり。

〇適用時期:2022年12月1日~2023年12月31日

〇適用対象企業:電力生産・卸売事業者

〇課徴対象額:電源により1メガワット時(MWh)当たり70~240ユーロの販売収益上限を設定(添付資料表参照)。これを超える収益が課徴対象。

〇負担率:90%

販売収益上限の設定は、EU理事会規則2022/1854に基づくもの(2022年10月3日記事参照)。EUは上限の基準を180ユーロと定めているが、各国は発電方法により調整することが可能となっている。

政府は、超過利潤税に関しては2023~2025年の3年間に計1,090億コルナ、超過売上課徴金に関しては1年間に800億コルナの収入を見込んでいる。

また、前述の財務省ウェブページによると、付加価値税・所得税改正法はさらに、以下も定めている。

  • 付加価値税登録義務が課される売上高条件を100万コルナ以上から200万コルナ以上に引き上げ。
  • 新型コロナウイルス対策として、2020~2021年を対象に導入された減価償却の加速措置を2022~2023年にも引き続き適用する。有形固定資産のうち、通信機器など第1グループ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに属するものについては償却期間を3年から1年に短縮、自動車など第2グループに属するものは5年から2年に短縮し、かつ1年目に60%以上を原価償却することが可能となる。

(中川圭子)

(チェコ)

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