米シェブロン、CO2回収・除去技術開発の加スバンテのシリーズEラウンドで出資

(米国、カナダ)

ヒューストン発

2022年12月19日

米国石油大手シェブロンは12月15日、二酸化炭素(CO2)回収・除去技術開発を手掛けるカナダのスバンテ(本社:ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー)の3億1,800万ドルのシリーズE(注)ラウンドの資金調達において、同社がリードインベスターになったと発表した。

シェブロンは、コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)のシェブロン・テクノロジー・ベンチャーズを通じて、2014年にスバンテに初期投資を行っている。2020年にはスバンテの天然ガスの燃焼プロセスにおけるCO2回収技術の試験導入プロジェクトを開始しており、2022年12月からカリフォルニア州サンホアキンバレーにある同社施設で同技術の実証実験を行う予定だ。

スバンテは2007年の設立以来、有機金属構造体(MOF)フィルターを用いたCO2回収・除去技術を開発してきた。今回の資金調達は主に、スバンテのカナダ・バンクーバーに所在するフィルター製造施設の整備に充てられるとしている。同施設では、大規模なCO2回収・貯留(CCS)施設向けに年間数100万トンのCO2を除去・回収可能なフィルターを製造することが期待されているとしている。

シェブロン子会社シェブロン・ニュー・エナジーのCO2回収・利用・貯留(CCUS)担当バイスプレジデントのクリス・パワーズ氏は「われわれは、フルバリューチェーンのCCUS事業を推進しており、スバンテはCO2回収ソリューションの実現においてリーダーとなり得ると信じている」と述べた。

シェブロンの直近の脱炭素化事業には、10月にフランスのエア・リキードなどと水素・アンモニア製造施設開発プロジェクトでの提携(2022年10月20日記事参照)がある。また、11月にはJERAとアジア太平洋地域と米国の脱炭素分野などでの提携(2022年11月9日記事参照)のほか、商船三井とのCCUS向け液化CO2海上輸送事業開発での提携(2022年11月11日記事参照)を発表した。12月14日にはスウェーデンのベースロード・キャピタルとの地熱発電開発の合弁会社設立(2022年12月16日記事参照)を発表している。

(注)一般に、安定的な収益を出せるようになった段階での資金調達。

(沖本憲司)

(米国、カナダ)

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