COP27で気候変動への取り組み強化を表明

(タイ)

バンコク発

2022年12月02日

タイの天然資源・環境省によると、エジプトで開催された国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)において、ワラウット・シラパアーチャー天然資源・環境相が演説し、2030年までに20~25%としていた温室効果ガス排出量の削減目標を、30~40%に引き上げることを発表した。また、タイはあらゆる分野で温室効果ガスの削減行動を加速させていると述べ、2030年までに温室効果ガス排出量がゼロである車両の生産量を30%まで増加させ、2050年までに発電における再生可能エネルギーの割合を50%以上に拡大すると付け加えた。その他、2037年までに森林面積を55%まで増加させることも目標とした。

また、ワラウット大臣は、2国間の炭素クレジットの移転を可能にする、パリ協定6条2項に規定される「協力的アプローチ」を支持する用意があると述べ、同項に記載される「国際的に移転される緩和成果(ITMO)」の活用を表明した(注1)。国連開発計画(UNDP)によれば、現在、ITMOの国家間移転を積極的に活用しているのはスイス。世界銀行は、こうした制度の活用推進を目的に「変革的炭素資産ファシリティ(TCAF)」を設けている(注2)。

(注1)パリ協定6条2項では、他国で実現した排出削減・吸収量を各国の削減目標の達成に活用する「協力的アプローチ」について記載。例として、日本が実施する2国間クレジット制度(JCM)が挙げられる。

(注2)TCAFは、温暖化対策により得られる排出削減量を買い取ることで、途上国における温暖化対策の導入・実施を支援するもの。

(藤田豊)

(タイ)

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